日本にも「県民の色」が存在するように、スペインにも「州民の色」が、おそらく日本以上に存在する。そしてそれが最も端的に表れる場が「ダービー」であると私は思う。
今回は『スペインのローカルダービーを巡る旅』と銘打って、「バスク・ダービー」を皮切りに「ガリシア・ダービー」「バレンシア・ダービー」「セビージャ・ダービー」の4つのダービーマッチをシリーズでお送りする。第3回はオレンジ色と黄色がスタジアムで入り混じる、「バレンシア・ダービー」を訪れる。
沿道に実るバレンシアオレンジ 写真提供:Getty Images
著者:土屋一平
オレンジ色のロス・チェ
ガリシア州から、地中海に面したバレンシア州へとイベリア半島を横断する。バレンシアと聞くとどうしてもオレンジが連想されるのだけれど、実はあの果物の原産地はアメリカのカリフォルニア州だという。しかしオレンジ自体は、地中海性気候に属するこの地域特有の、夏の日差しと乾燥に強い重要な農産物だ。
そんな鮮やかなオレンジ色を基調としたクラブが長年この地域のみならず、スペインで確固たる地位を築いてきた。バレンシアCFはラ・リーガ・プリメーラ・ディビシオン優勝6回、コパ・デル・レイ優勝7回を誇るスペインを代表する名門だ。
私の印象に残っている、エンブレムにコウモリをあしらったロス・チェ(バレンシアの愛称)と言えば、1999/00、2000/01に2年連続でチャンピオンズリーグ決勝に出場したチームだ。当時子どもだった私の眼には、クラウディオ・ロペスとサンティアゴ・カニサレスの2人が、その風貌とプレースタイル故にカッコよく映ったことを覚えている。
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