
8月30日、2025明治安田J2リーグ第28節の北海道コンサドーレ札幌対RB大宮アルディージャが大和ハウスプレミストドーム(北海道)で行われ、札幌が1-0で勝利。今季3度目となる2連勝を飾った。
9年ぶりにJ2で戦う札幌は、1年でのJ1復帰を目指していた。昨季まで監督を務めたミハイロ・ペトロヴィッチ氏の後任として開幕を率いたのは、元日本代表の岩政大樹氏。しかし札幌は、リーグ開幕からいきなり4連敗で出鼻をくじかれると、第25節のV・ファーレン長崎戦(1-2)後に同氏を解任。代わってチームを託されたのは、クラブOBで札幌のU-18を指導していた柴田慎吾監督だった。
札幌の石水創社長によれば、複数の候補者がいた中で、クラブフィロソフィー(行動理念)である「走る・戦う・規律を守る・その笑顔のために」を最も体現できる人物ということが最大の決め手だったという。
柴田体制初陣となった第26節のブラウブリッツ秋田戦(0−2)は、吉田謙監督が率いるハードワークサッカーに圧倒され敗戦を喫したものの、次の第27節ヴァンフォーレ甲府戦(2−1)と今節の大宮戦は昇格を争うライバルに連勝し、J1昇格に望みをつなげている。試合を重ねるごとに内容が改善されており、柴田監督の修正力が早くも成果を見せていると言えそうだ。
ここでは、就任後わずか3試合でチームを立て直しつつある柴田監督のサッカーについて紹介していく。

甲府戦で見えた縦志向の変化
まず、攻撃のビルドアップに大きな変化が感じられる。柴田監督の就任後初戦となった秋田戦では、札幌DF浦上仁騎が自陣でのビルドアップ中にボールタッチが大きくなり、相手に奪われて痛恨の2点目を献上するシーンがあった。これは、前ペトロヴィッチ体制時にも度々見られていた失点パターンであった為、思わずフラッシュバックしたファン・サポーターも多かっただろう。
しかし、第27節の甲府戦では、ビルドアップの方法に明確な変化が見られた。自陣での横パスが多かった秋田戦に比べ、縦への意識が植え付けられていた。特に印象的だったのは、DF髙尾瑠がボールを持つと、FW白井陽斗やFW長谷川竜也ら前線の選手が背後のスペースへ走り出し、それを見たDF髙尾がすかさずロングボールを供給したシーンである。ボールが前線に渡ると、迷わず深い位置までボールを運び、高い確率でフィニッシュに持ち込むことができていた。
その形が最も鮮明に表れたのが16分の先制点だ。相手の背後を狙った長谷川の動き出しに髙尾がロングボールを供給。パスを受けた長谷川が右ペナルティエリア付近でボールを持つと、ゴール前に待っていたFWマリオ・セルジオにラストパスを送り、そのまま先制点を獲得した。
また、シャドーの選手が下りてウィングバック(WB)と連携しながらサイドを切り裂くなど、足元のパスだけでなく走力を駆使して相手DFの背後を狙う意識が際立ち、甲府DF陣を混乱させることに成功。ブロックを敷くチームが多いJ2の中でも、特に堅守を誇る甲府相手にこれだけの戦いが出来たことは大きな収穫となったに違いない。
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