アジア AFCチャンピオンズリーグ

秋春制導入に二の足を踏む韓国Kリーグの憂鬱

浦項スティーラーズ 写真:Getty Images

11月27日に横浜国際総合競技場で行われたAFCチャンピオンズリーグエリート2024/25(ACLE)第5節で、横浜F・マリノスは、韓国Kリーグの浦項スティーラーズを2-0で一蹴。勝ち点を10に伸ばし、順位も3位をキープ。上位8チームによるノックアウトステージ進出に大きく近付いた。

この試合で浦項は、23日にアウェイの江陵総合競技場で行われた江原FC戦(0-1)からスタメン10人を入れ替えて臨んだ。第4節終了時点でラウンド16進出圏内の7位にいたにも関わらず、パク・テハ監督が苦渋の選択をしたのには訳がある。


AFCチャンピオンズリーグ(ACL)写真:Getty Images

ACLに臨むクラブの超ハードスケジュール

韓国内では2024シーズンKリーグ順位決定プレーオフの真っ最中。加えて浦項は、11月30日に中2日で蔚山HDとのコリアカップ決勝(ソウルワールドカップスタジアム)で単独トップとなる6回目の優勝を目指し、さらに12月3日、中2日でACLE第6節のヴィッセル神戸戦(浦項スティールヤード)を戦うという超ハードスケジュールなのだ。

現在、浦項は順位決定プレーオフで6位と苦しい戦いが続いている。この順位のままでは来季ACL出場権は手にできない。コリアカップを制覇すれば、少なくとも来季のAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)には出場できる(ACLEに出場できるかどうかはプレーオフの順位次第)。両方とも落とせない大事な一戦で、パク監督の心中は察するに余りある。しかし27日の横浜FM戦に敗れたことで、ACLEの順位も10位にまで落ちてしまった。

ACLに臨むクラブが過密日程に苦しむのは、Jリーグのクラブも一緒だ。しかも横浜FMは、7月に解任されたハリー・キューウェル監督の後を受け就任したジョン・ハッチンソン暫定監督が今季限りで退任し、新監督に前イングランド代表ヘッドコーチのスティーブ・ホランド氏の招聘が濃厚となっている。2月12日のACLE第7節上海申花戦(横浜国際総合競技場)では新体制で臨むことになるのだ。


Jリーグ旗 写真:Getty Images

秋春制導入による歪み

これは、アジアサッカー連盟(AFC)が欧州のカレンダーに合わせた形で、AFCなどの主催大会において秋春制を導入したことによる歪みといえる。Jリーグも2026年からの秋春制導入を決定している。

日本でも賛否両論が飛び交い、雪国クラブへの配慮やウインターブレークなどの問題を棚上げした形で、半ば強引に決定された印象の秋春制。韓国でも秋春制への論議が始まっているが、なかなか前に進まないのが現状だ。

韓国の冬の寒さは日本以上で、首都ソウルの冬の平均気温はおよそマイナス4度にまで冷え込む。また、夏の蒸し暑さが日本ほどではないということも、この議論に待ったをかけている。

韓国ナンバーワンのシェアを誇るスポーツ紙『スポーツ朝鮮』では、「Jリーグでは、雪国にある一部クラブから反対の声が挙がりつつも、最終的にシーズン移行を決断した。サッカー界の世界的な流れに沿う形を採ったことで、Kリーグも岐路に立たされている」としつつも、秋春制の移行には多くの問題があることを指摘している。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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