プレミアリーグ リバプール

リバプールが格下相手に取りこぼす理由。クロップが貫く“信条”が抱えるジレンマ【MatchSTORY】

「今のクロップ・リバプールはロジャース時代と何も変わっていない」

 1-1で終えたバーンリー戦後、プレミアリーグ最多ゴール記録を持つアラン・シアラーがイギリス紙『サン』のコラムで語った言葉だ。この試合、リバプールは支配率71%を誇り、合計23本のシュートを放ったが、相手GKニック・ポープの活躍もあり、結局追加点を取ることは出来なかった。

 昨シーズンは一時首位を走り、最終的にCL圏内の4位でフィニッシュした昨季のリバプール。ドイツ仕込みのプレッシングと多彩な得点パターンはとりわけ上位勢の脅威となり、トップ7から12試合で26ポイントを奪った。クロップ監督も自信をつけたに違いない。しかしその一方で、引いて守る格下からの取りこぼしが多かったのも事実である。バーンリー戦は、リバプールファンにとって昨季よく見た展開ではないだろうか。

 深く引いて守る敵を崩すための策はないのか?という批判に対してクロップ監督はドイツ紙『キッカー』に「俺には俺の哲学がある。相手が深く守るチームだからといって、自分たちのスタイルを変えるつもりはない。自分たちがやっているフットボールは、どんな相手にも有効だと信じている」と語り、プランBがないことを明かしている。

 昨季リバプールが敗戦した相手は、バーンリー、ボーンマス、スウォンジー、ハル・シティ、レスター、クリスタル・パレスと全て下位のチームだ。今季も同様にワトフォード、バーンリーに引き分け、下位チームへの取りこぼしが目立つ。さらに今季は開幕5試合を終え、すでに9ゴールを許している。これは最下位のクリスタル・パレスより多い数字だ。

 守備に問題を抱えながらも、今季リバプールが獲得したのは前の選手が中心だ。左サイドバックにハル・シティからアンドリュー・ロバートソンを加えたが、大金を費やしたのはローマから獲得したFWモハメド・サラーとアーセナルから獲得したMFアレックス・オクスレイド=チェンバレンである。センターバックはジョエル・マティプとラグナル・クラヴァン、デヤン・ロヴレンの3人で回している現状。PLで最高のセンターバックではないことは確かだ。

 だが、好材料としては、バルセロナ移籍騒動で戦線を離れていたブラジル代表FWフィリペ・コウチーニョがこの試合でスタメンに戻ってきた。今季からクロップ監督は、コウチーニョを左FWではなく、左インサイドMFで使う予定のようだ。これにより、より攻撃色の強いリバプールが見れそうである。クロップ・リバプールは2013/2014年シーズン惜しくも優勝を逃したロジャース政権の成績を上回ることができるのであろうか。