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北朝鮮サッカーはなぜ強い?アジア大会2026で見えた強化法と情報統制

FIFAのロゴ 写真:アフロスポーツ

限られた親善試合の相手と徹底した情報統制

その国家体制ゆえ、国際親善試合の機会は少なく、相手も限られる。男子A代表は2025年2月、トルコでロシアやウズベキスタンのクラブチームとテストマッチを行った。ロシア・プレミアリーグの名門、ルビン・カザンに4-1で勝利するなど、好成績を残している。同時期にはカザフスタン代表に2-0で勝ち、3月にはヨルダンとも親善試合を行った。しかし、北中米W杯(FIFAワールドカップ)アジア3次予選グループAではイラン、ウズベキスタン、UAE、カタール、キルギスと同組となり、1勝もできないまま、最下位で敗退した。

女子は2025年11月、平壌でロシア代表と親善試合を行い、5-2で勝利した。2024年にもロシアとモスクワで対戦している。中国でのクラブチーム相手の親善試合も行われている。ロシアとの関係強化が背景にあり、中国や中央アジア諸国、中東の一部が主な相手となっている。欧州主要リーグ所属選手との交流や、国交のない西側諸国との国際親善試合は極めて少ない。

ホームでの国際試合は首都・平壌にある収容人数約5万人といわれる金日成競技場で行われるが、ほぼ“非公開”で開催されている点も報告されており、情報公開も限定的だ。筆者もあらゆる手段で、どこかにテストマッチの動画がないか探してみたが、違法アップロードである可能性があるものも含め、今大会やW杯予選以外の試合の動画は見付けられなかった。この徹底した情報統制により、戦術の秘匿性が保たれる一方、世界中の多様なスタイルへの適応や経験の蓄積が課題となるデメリットもある。いずれにせよ、欧州サッカーの情報にたやすくアクセスできる日本人にとっては考えられない環境で練習していることになる。公式戦であっても、勝った試合はテレビ放送するが、負けた試合は放送しないなどといった都市伝説のような噂もある。


鄭大世 写真:アフロスポーツ

独自モデルの強みと限界、今後の展望

女子はフィジカルと組織力を武器にアジア最強の座を日本と競う存在であり続け、FIFA U-20女子W杯2026ポーランド大会では決勝に進出し、連覇を懸けてスペイン代表と対戦したが、0-0からのPK戦で敗れ、最多となる4度目の頂点は逃した。

男子はW杯予選で苦戦しているが、W杯本大会出場は日本よりも先の1966年イングランド大会で、イタリア代表を破り、アジア勢初となるベスト8に進出した。次のW杯本大会出場は、2010年南アフリカ大会で、日本生まれ日本育ちのFW鄭大世(当時川崎フロンターレ、現Y.S.C.C.横浜コーチ)が招集され、話題となった(結果は3戦全敗でグループリーグ敗退)。

強化の強みは国家主導の集中投資と長期合宿による一体感だが、選手の海外移籍が難しく、最新の戦術やデータ分析の面で制約がある点は大きな弱点だ。対戦相手の実力を測る“物差し”がないのだから、選手も分析担当のコーチも、そして監督も雲をつかむような感覚で強化するしかないのが現実で、そんな環境でも結果を出すのだから、“謎”という表現がピッタリだ。

アジア大会での日本との接戦や女子の決勝進出は、こうした独自の育成システムであっても、一定の有効性を示している。一方で、外交状況が変わらない限り、親善試合の相手や機会は限られ続ける。北朝鮮サッカーは注目され続けているが、その強化法の核心は、外部との接点を最小限に抑えつつ、内部で徹底的に鍛えるモデルにある。今後、国際大会でどの程度通用し続けるかが、システムの持続性を測る指標となるだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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