
ベトナムの特徴と注目選手
ベトナムは組織的で献身的な守備と鋭い速攻を強みとするチームだ。今大会の登録選手26人の平均年齢は28.6歳で、中国と並んで12チーム中最年長。チームとしての完成度が高い反面、世代交代がうまく進んでいない印象も受ける。平均身長は160.2cmで、バングラデシュに次いで2番目に低く、浮き球やセットプレーへの対応が長年の課題となっている。
チームの顔と言えるのが、34歳のベテランFWフイン・ニューだ。代表通算70ゴールを記録している点取り屋で、かつてランクFC(ポルトガル女子1部)でも活躍した実力派。2016年のリオデジャネイロオリンピック予選では、日本からPKでゴールを奪った経験も持つ。全盛期のスピードや運動量こそ落ちたものの、ゴールへの嗅覚と周囲を生かすプレーには円熟味が増しており、今なおチームに欠かせない存在だ。
その後継者として期待されているのが、FWグエン・ティ・タイン・ニャー(24歳)とFWゴック・ミン・チュエン(21歳)の若手ストライカーだ。サイドを切り裂くスピードを武器とするタイン・ニャーは、格上との対戦時にカウンターのキーマンとなる存在。2023年の女子W杯前に行われた欧州遠征では、快速を飛ばして強豪ドイツからもゴールを奪っている。
前U-20ベトナム女子代表監督で、現在はU-20日本女子代表を率いる井尻明氏の愛弟子でもあるミン・チュエンは、身長150cmとチーム内でも特に小柄な選手だが、力強いドリブルとシュートを武器としており、U-20代表では絶対的ストライカーとして君臨。今大会の第2節チャイニーズ・タイペイ戦では、終盤に途中出場して存在感を示した。
チームを束ねるのは、75歳の名将マイ・ドゥック・チュン監督だ。ベトナムをSEA Games優勝6回、女子W杯初出場へ導いた功労者で、2022年にはベトナム政府から労働英雄勲章を授与された国民的英雄でもある。現役時代は豊富な運動量を武器に、フォワードからディフェンダーまでこなすオールラウンダーとして活躍した。なお、国際サッカー連盟(FIFA)は前回の女子W杯が開催された2023年に、チュン監督を男女のW杯を通じた史上最高齢監督(当時72歳)として認定した。高齢を理由に何度も勇退を表明しているが、偉大な指導者の後を引き継ぐ人材が見つからず、今大会も指揮を執ることになった。
格上日本との一戦は厳しい戦いが予想されるが、準々決勝進出の可能性を残すベトナムにとっては重要な最終節となる。大会屈指の攻撃力を誇る日本を相手に、どのような戦いを見せるかが注目される。
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