
Jリーグとの差別化という視点
では、大学サッカーはどのような活路を見いだすべきなのだろうか。選手側には「最後のプロへの可能性」を求めて大学に進む動機があり、大学側にもプロ選手輩出によるブランド価値向上への期待がある。その結果、プロの指導者を招聘し、競技力向上を図る動きが活発化している。
しかし、特待生制度を用いて有能な選手を集め、競技力を高める手法自体はプロ化以前から行われてきた。スポーツの強さが大学の知名度や評価を高める構図も、今に始まった話ではない。
だからこそ、教育機関としての原点に立ち返る必要がある。純粋な「プロ選手養成」という点では、Jリーグに太刀打ちできない。学術的な探究や人間形成とサッカーを結びつけることこそ、大学が担うべき役割ではないだろうか。
「理論的にサッカーを突き詰めたい」「引退後も指導者や研究者、経営側としてサッカー界に関わりたい」。そうした層に明確に訴求することが、大学サッカー独自の価値につながる。
メディア・マーケティング戦略の強化
もっとも、テーマを定めても、その魅力が社会に伝わらなければ意味がない。現状、大学サッカーは社会的な存在感が決して高いとは言えず、集客や収益化にも苦戦している。
Jリーグ創設準備期、日本サッカー協会関係者が参考にしたのが、当時すでに高い人気を誇っていた大学ラグビーだった。「ラグビーにできて、サッカーにできない道理はない」という発想である。
青春性や泥臭さは、人々の心を動かす大きな要素だ。その点では高校野球や高校サッカーも成功例と言える。競技レベル自体は大学より高いとは限らないが、圧倒的なメディア露出によって多くの観客をスタジアムに呼び込んでいる。
観客が集まる舞台があれば、選手も「そこでプレーしたい」と思うようになる。
大学サッカーにおいても、メディア事業やマーケティングに専門家を招き入れる選択肢は検討に値する。大学スポーツが盛んなアメリカでは、カレッジスポーツが時にプロを上回る集客を誇り、商業的成功を収めている。アメリカンフットボールは、その象徴的な存在だ。
研究開発分野と同様、アメリカの大学はスポーツにおいても商業化と投資に積極的である。
大学サッカー、ひいては日本サッカー全体の発展のために必要なのは、「プロサッカーとの差別化されたテーマ設定」と「本気のマーケティング強化」だろう。
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