
11月16日、フクダ電子アリーナ(千葉県)で第104回全国高校サッカー選手権大会・千葉県大会の決勝が行われ、2年連続9回目の出場を目指す流通経済大学付属柏高校(以下、流経大柏)と初の全国大会出場を狙う専修大学松戸高校(以下、松戸)が激突した。
試合序盤から流経大柏が多くのチャンスを作ったものの、松戸の集中した守備が光りスコアレスで前半を折り返す。試合が動いたのは66分、流経大柏のDF廣瀬煌(3年)が左サイドを駆け上がり精度の高いクロスを供給。FW渡辺瞳也(2年)がこれを押し込み先制に成功した。
その後は両校が次の1点を狙い合う一進一退の展開が続き、試合は終盤へ。流経大柏がこのまま逃げ切るかと思われたが、松戸はコーナーキックから波状攻撃を展開。MF吉岡敬悟(3年)のシュートがPKを誘発し、これを松戸のキャプテンMF鬼頭航大(3年)が冷静に沈めて同点に追いついた。
試合は1-1で延長戦に突入。84分に途中出場のMF昇純希(3年)が柔らかいパスを供給すると、MF山元琉士(3年)がペナルティエリアから放ったシュートがゴールネットを揺らし、流経大柏が勝ち越しに成功した。その後も試合巧者ぶりを発揮した流経大柏がリードを守り抜き、2年連続9回目となる千葉県王者に輝いた。チームは12月28日から首都圏各地で行われる選手権本選に出場する。
前回大会準優勝の悔しさを誰よりも知る流経大柏の主将MF島谷義信(3年)と、決勝点を挙げた山元選手に試合後の思いを訊いた。

競争力は日本一!「この代で優勝旗を取り返す」
ー本日の試合を振り返っていただけますか?
島谷:松戸さんのブロックは堅かったですし、試合通してバックラインを中心に集中した守備を続けていたので、そこをこじ開けるのは困難でした。それを超える攻撃力を持ってやっていかないと、これから全国では通用しないと思います。チームの課題として全員で取り組んでいきたいです。
ー後半開始時に3枚替えがありましたが、ベンチの選手にどんな声掛けをしましたか?
島谷:ベンチの選手も「自分がチームを勝たせる」という気持ちを持ってベンチ入りしています。全員がチームを救う気持ちなので、今日の(山元)琉士もそうですし、準決勝のオデゲベ(有規)もそうですが、途中出場の選手が結果を残せることはチームとしても良いことですし、競争力が激化するのはプラスだと思います。
ー同点に追いつかれた時の心境は?直後の円陣ではチームメートにどんな声掛けをしましたか?
島谷:ヒヤッとはしましたけど、動揺はなかったです。「次に点をとった奴がヒーローだぞ」と声を掛けました。全員が点を取る気持ちで挑んだ結果がこの結果に結びついたと思います。
ーチームとして2ゴールありましたが、それぞれのゴールシーンについて振り返ってください。
島谷:1点目は廣瀬(煌)が突破して(渡辺)瞳也がしっかり決め切って、2年生ながら頑張ったプレーを見せてくれたので、頼もしい2年生だなと思います。(2点目の)琉士に関してはゴラッソでチームを救う素晴らしいシュートでしたし、あのゴールがなかったら勝利がどっちに転がっていたか分かりません。琉士に救われたなと思います。
ー島谷選手から見て山元琉士選手はどんな選手ですか?
島谷:琉士は元々FWの選手だったのでキックが上手いんです。キック精度の高さが2点目のあのシーンに出たのかなと思います。
ーチームの競争力について、キャプテンにはどのように映っていますか?
島谷:自分を含めてJリーグに内定している選手が4人いますし、引けを取らない選手もサブにいます。そういう意味でも競争力は日本一だと思っています。日々の練習でも強度高くやっているので、そこは成長できる部分なのかなと思っています。
ー選手権準優勝から始まった現チームですが、チーム始動時の雰囲気はどうでしたか?
島谷:新チームが始動してから、自分たちの代で必ず(優勝旗を)取り返そうと皆で誓ったので、どのチームよりも日本一の欲は強いと思います。特に自分は全試合ベンチに入れさせてもらって、日本一の難しさは今いる3年生の中では1番分かっていると思います。
ーどんなところが流経大柏の良さだと思いますか?
島谷:ひとことで言うと「個性」ですね。ドリブルで突破できる選手がいたり、FWには(ボールを)収められる選手がいたり、受けることが上手い選手がいたり、シュートが上手い選手もいます。後ろには対人が強い選手もいますし、GK藤田泰土(3年)もチームを救うビッグセーブを持っているので、そういう面に関しては「強烈な個性を持った選手たちがいる」と言えると思います。
ー試合に競り勝てる要因は何だと思いますか?
島谷:試合が終わるまで全員が「勝ちたい」という気持ちを持ち続けていることが最大の要因だと思います。負けていても「自分たちのサッカーを貫く」ということを恐れずにやっている部分。そういう所が苦しい展開でも勝てている要因だと思いますし、仮に失点して相手がリードしている場面でも、追いついて勝ち越せているところがあると思うので、粘り強さがあると思います。
ーチームとして今の課題を教えてください。
島谷:得点力ですね。決め切れるシーンがある中で得点が少ないことは課題だと思います。プレミア前期では点が取れていたんですが、後期では取れなくなりました。シュート本数も減っています。そこは課題を持ってやっているところではありますが、なかなか修正し切れていません。選手権までに修正して爆発力を持って挑みたいです。
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