Jリーグ

栃木C、讃岐、鹿児島…J3クラブが切り拓く自前ユニフォーム戦略

鹿児島ユナイテッド サポーター 写真:Getty Images

デメリット:初期投資・品質管理・物流体制の課題

一方、自前・協働型のユニフォーム生産には課題も多い。まず、生産ラインを確保するための初期費用が発生し、讃岐は導入時に地元企業と連携して体制を整えたと報じられている。

品質管理でも、大手メーカーほどの技術・ノウハウを持たないケースでは縫製や素材にばらつきが生じる可能性がある。クラブ側が品質をチェックする体制を十分に整えなければならない点は大きな負担だ。

さらに、販路拡大にも限界がある。世界的な販売網を持たないため海外市場への露出は限定的で、オンラインショップの運営体制が弱いクラブでは発送遅延などのトラブルが発生しやすいという指摘もある。


なぜJ3クラブがこの方式を選ぶのか

J3クラブは収益規模が大きくないため、大手メーカーと契約する場合に十分なメリットを得にくい。一方、自前・協働型であれば、デザインの自由度、収益性、地域密着の強化を同時に実現しやすい。

・栃木C:クラブの世界観を表現しブランド価値を高めたい
・讃岐:地域文化を前面に押し出し、地元サポーターとの一体感を強化
・鹿児島:財政的な外部依存を減らし、持続可能なクラブ経営を追求

いずれも、クラブ規模に合わせた合理的な選択と言える。


ウルバーハンプトン・ワンダラーズのユニフォーム 写真:Getty Images

今後の展望:Jリーグ全体への波及は?

欧州では、プレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズが自社ブランド「SUDU」を立ち上げ、ユニフォームからトレーニングウェアまで一括管理するモデルを確立している。ただし、同クラブは大規模な投資が可能であり、J3クラブが同様の体制を構築するにはハードルが高い。

とはいえ、栃木C、讃岐、鹿児島の挑戦は、Jリーグの多様性を広げる象徴的な動きだ。クラブ独自の価値をどう表現し、どのように収益化につなげるか。ユニフォームはその最前線にある。

自前・協働ブランドの取り組みが全国に広がれば、Jリーグはより多彩で個性的なリーグへと進化していくだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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