
発足から33年目を迎える2025シーズンの明治安田Jリーグ。2026年からは、8月に開幕し翌年5月に閉幕する「秋春制」への移行が決定しており、現行の「春秋制」は今シーズンが最後となる。
秋春制への移行に伴い、2026年前半は約半年間の空白期間が生まれるため、Jリーグはその期間に「特別大会」を行うと発表。大会は「J1リーグ特別大会」と「J2・J3特別大会」の2カテゴリーに分かれて行われる。
J1の特別大会は2月7日~5月24日まで「地域リーグラウンド」として東西10チームずつに分かれて実施。5月30日~6月7日の「プレーオフラウンド」で最終順位が決定する。
ここでは、9月15日時点で明らかになっているJ1リーグ特別大会の概要を分かりやすく整理して紹介する。

J1特別大会覇者にACLE26/27への出場権
J1リーグ特別大会の優勝チームには、アジアのトップクラブが集うAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)2026/27の出場権が与えられる。
従来、日本からはJ1リーグの優勝クラブと準優勝クラブ、さらに天皇杯の優勝クラブの計3クラブが出場していた。しかし今回は、2025シーズンのJ1優勝クラブと準優勝クラブに加え、来年上旬に開催されるJ1特別大会の優勝クラブがACLEへの切符を手にすることになった。
なお、2025シーズンのJ1優勝・準優勝クラブが特別大会を制した場合、同シーズンのJ1リーグ順位に基づいて出場権が繰り上げられる。

ダービーマッチ目白押しの「地域リーグラウンド」
2026年2月7日(土)から5月24日(日)まで開催される「地域リーグラウンド」は、東西10チームずつに分かれたクラブがホーム&アウェイ方式で18試合を行いグループ内の順位を争う形式だ。
基本的には地域ごとに分けられるが、降雪地域のクラブや同一都道府県に属するクラブは同じグループに組み込まれる。そのため、町田ゼルビアや東京ヴェルディ、FC東京といった「東京ダービー」や、ガンバ大阪とセレッソ大阪の「大阪ダービー」など白熱の対戦カードが実現する見込みだ。さらに、J2で昇格争いを続けるジェフユナイテッド千葉がJ1に昇格した場合、千葉県に本拠地を構える柏レイソルとの「千葉ダービー」が久々にトップリーグで行われる可能性もある。
また、2026/27シーズンからの秋春制移行に伴い通常より長いオフ期間が設けられるため、今オフは例年以上に監督交代や選手の入れ替えが激しくなることも予想される。降格のない特別大会では、新戦術の導入や新加入選手や若手選手の積極的な起用にも注目が集まるだろう。
レギュレーション面でも、通常のJリーグとは大きな違いがある。90分で決着がつかない場合は延長戦を行わず、直ちにPK戦で勝敗を決定。PK戦勝利チームには「勝ち点2」、敗れたチームにも「勝ち点1」が与えられる仕組みだ。そのため、終盤の采配や選手交代にはPKを見据えた特別な駆け引きが加わることになる。

注目は東西1位チーム同士のACLE出場権争い
「地域リーグラウンド」以上の盛り上がりが期待されるのが「プレーオフラウンド」だ。東地域グループと西地域グループの同順位同士がホーム&アウェイ方式で戦い、最終順位が決定する仕組みになっている。第1戦が5月30日(土)と31日(日)、第2戦が6月6日(土)と7日(日)に行われる。
なかでも最大の注目カードは、ACLEの出場権をかけた東西1位同士の対戦である。「地域リーグラウンド」で思うような結果を残せなかったクラブにとっては、新シーズンに向けたチーム作りに時間を割く選択肢もあるが、この1位決定戦に限っては従来のリーグ戦と同等、あるいはそれ以上の本気度が求められるだろう。
なお、「プレーオフラウンド」は2試合の合計スコアで決着がつかない場合は延長戦(前後半各15分)を行い、それでも決着しない場合はPK戦で勝敗を決めるレギュレーションとなっている。

勝ち点に応じた賞金制度
特別大会の「地域リーグラウンド」では、勝ち点に応じて賞金が支給される仕組みが導入されている。勝ち点1で200万円、勝ち点2で400万円、勝ち点3で600万円が獲得できる。つまり1試合ごとに「成果報酬」が設定されている形だ。仮に「地域リーグラウンド」で全勝すれば、総額1億800万円という大金を手にすることができるのだ。そのため、どのクラブも順位に関係なく、勝ち点を積み上げること自体が大きなモチベーションになるだろう。
さらに「プレーオフラウンド」の結果に基づき、優勝チームには1億5,000万円、2位には6,000万円、3位には3,000万円の賞金が授与される。加えて、競技順位に応じた理念強化配分金(総額8億1,000万円)やDAZN視聴数やDAZNシーズンパス販売実績などファン指標に基づく人気順位の理念強化配分金(総額2億7,000万円)、そして1位~20位までに支給される特別助成金(総額1億2,000万円)もクラブに分配される予定だ。
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