
長い伝統を誇る第51回キングスカップの決勝が9月7日にカーンチャナブリー・スタジアムで行われ、石井正忠監督率いるタイ代表(FIFAランキング102位)はイラク代表(同58位)に0-1で敗れた。石井監督にとって大会2連覇がかかった大一番だったが、優勝にあと一歩及ばなかった。
最多16回の優勝を誇るタイ代表は、初戦でフィジー代表(同150位)に3-0で勝利し決勝進出。強豪イラクと激突した試合は一進一退の攻防が続き、0-0で前半を折り返した。タイは後半からMFチャナティップ・ソングラシン(元北海道コンサドーレ札幌、元川崎フロンターレ)を投入して攻勢を強めると、67分にはFWスパチョーク・サラチャート(札幌)のシュートのこぼれ球をMFジャルンサック・ウォンコーンが押し込むが、VARの判定でオフサイドとなり先制点は幻に終わる。
均衡を破ったのは75分、右サイドからのクロスにFWモハナド・アリが頭で合わせてイラクが先制に成功。しかし、その直後にDFフランス・プトロスが二枚目のイエローカードを受けて退場。ここから数的優位に立ったタイは猛攻を仕掛け、多くのチャンスを作っていく。さらに後半アディショナルの90+4分には、ドリブルで攻めあがろうとしたMFチャナティップの足を後方から蹴り上げる悪質なファウルでFWモハナド・アリが一発退場。これに激怒したタイの選手らが詰め寄り、スタジアムは騒然となった。
9人となったイラク相手にタイは最後までゴールを狙い続けたが決めきれず、試合は0-1で終了。後味の悪い幕切れとなり、タイは17度目の優勝を逃した。一方のイラクは、2023年大会以来2度目の優勝を果たした。
試合後、チャナティップは「僕のキャリアのなかで、こんなに強いチャージを受けたことは今までにない。幸い靭帯損傷ではなく筋肉の怪我だけで済んだが、これから精密検査が必要だ。本当に腹が立った。ピッチ上でこんなことが許されていいわけがない」と怒りを露にした。
石井監督も「あまりにも危険なファウルで、スポーツマンシップに欠けていた。プロ選手がすべきことではない」と厳しく批判した。
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