
天皇杯JFA第105回全日本サッカー選手権大会の3回戦が、7月16日に各地で行われた。湘南ベルマーレはレモンガススタジアム平塚にて清水エスパルスと対戦。最終スコア0-1で敗れている。
45分ハーフの前後半でお互いに得点を挙げられず、試合の決着は15分ハーフの延長戦に委ねられる。迎えた延長前半アディショナルタイム、清水MF乾貴士のコーナーキックに味方FWドウグラス・タンキがヘディングで合わせ、このシュートが決勝点に結びついた。
2025明治安田J1リーグ22試合消化時点で17位と低迷し、J2リーグへの降格危機に瀕している湘南が長きにわたり解決できていない問題とは何か。ここでは天皇杯3回戦の現地取材で得た湘南MF石橋瀬凪(19歳)の試合後コメントを紹介するとともに、同クラブの課題に言及していく。

攻撃配置が悪かった湘南
両軍ともに[3-4-2-1]の基本布陣を採用。湘南は茨田陽生と奥埜博亮の両MF(2ボランチ)、及び鈴木章斗と小田裕太郎の両FW、MF小野瀬康介による1トップ2シャドーが縦横無尽に動き回り、味方GKポープ・ウィリアムや3センターバックからの縦パスを引き出そうとしていた。

鈴木章斗、小田、小野瀬への縦パスがチャンスに繋がる場面もあったが、この試合では湘南の左ウイングバック石橋が高い位置をとりすぎることで、図1のように味方センターバックとの距離が開いてしまう場面がしばしば。ウイングバックが高い位置をとりすぎると、相手サイドバック(ウイングバック)に捕捉されやすくなるため、味方センターバックとしてはそこへパスを出しづらい。また、ウイングバックが高い位置から降りながら味方のパスを受ける形になるため、相手ゴールに背を向け、且つ相手サイドバック(ウイングバック)を背負うような体勢になりがち。清水戦における石橋は、この体勢でのパス受け取りが多かった。

「高い位置でボールを受けられなかった」
この試合で左ウイングバックを務めた石橋は、試合後に筆者の取材に対応。高い位置をとるよう指示を受けていた前半に、窮屈さを感じていたようだ。
ー味方センターバックがボールを保持したときに、石橋選手はどんな立ち位置を心がけましたか。
「今日の前半は指示的な部分があって(指示があって)、自分が高い位置をとることで生まれるスペースにシャドーの選手(小田と小野瀬)が入るという戦術だったんですけど、清水さんもすぐに対応してきて、後半はなるべく自分が(少し低めの位置で)ボールを受けて、シャドーの選手に縦に走ってもらう戦術にするよう指示がありました」
ー味方センターバックと石橋選手の距離が開きすぎて、パスが繋がりにくくなる場面もありましたね。
「そうですね」
ー石橋選手が高い位置から降りながらパスを受けなければならず、相手ゴールに背を向けた状態でのプレーも多かった気がします。
「いつもと比べ、前半は高い位置でなかなかボールを受けられなかったですね。後半は自分が落ちて(少し低めの位置へ降りて)前向きの体勢を作れたので、今後は降りてボールを受けてからのプレーが自分の課題になると思います」
コメントランキング