
奥羽本戦
ブラウブリッツ秋田(現J2)とモンテディオ山形(現J2)の対戦は「奥羽本戦」と呼ばれ、熱い戦いが演じられる。名前の由来は山形と秋田を結ぶJR奥羽本線に掛けたもので、ホームアンドアウェイで行われる2試合のうち第1戦を「始発」第2戦は「終電」と表現される。
なお奥羽本戦に勝利したチームが得るのは勝ち点3だけではない。このダービーマッチには独自のルールがあり、2試合で獲得した勝点の多いクラブには翌シーズンの対戦時にホーム・アウェイ共に1stユニフォームを着用する権利が与えられる。直近の対戦は2025年3月9日に行われたJ2第4節で、4対2と山形が勝利。通算での対戦成績も8勝2分1敗と山形にとっては相性の良いカードとなっている。
次回の奥羽本戦はJ2第20節で、6月22日に秋田のホーム・ソユースタジアムで開催される。来季直接対決での1stユニフォーム着用を掛けた1戦に多くの注目が集まることだろう。

川鉄ダービー
ヴィッセル神戸(現J1)とファジアーノ岡山(現J1)はともに、川崎製鉄水島サッカー部(後に川崎製鉄サッカー部に名称変更)を起源としており両者の対戦は「川鉄ダービー」と呼ばれている。
川崎製鉄水島サッカー部は1995年にヴィッセル神戸へと名称を変更。岡山は川崎製鉄水島サッカー部OBにより設立されたリバー・フリー・キッカーズを前身としており、両クラブは深いつながりがある。全国的に見ても、地域的特徴以外でのダービーマッチは珍しく古くからクラブを知るサポーターにとってはとても思い入れのある対戦だ。
両クラブはこれまで3度対戦しているが、1勝1分1敗と五分の成績だ。岡山がJ1に昇格したことで2025年5月3日には、J1で初となる川鉄ダービーが行われ2対0で神戸が勝利している。次回対戦は7月20日のJ1第24節。岡山のホームJFE晴れの国スタジアムで開催が予定されており、J1初挑戦の岡山がリーグ3連覇を狙う神戸にどのような戦いを挑むか注目だ。

富士山ダービー
清水エスパルス(現J1)とヴァンフォーレ甲府(現J2)の一戦は、世界文化遺産である富士山が静岡県と山梨県の間に位置することから「富士山ダービー」と呼ばれている。
地理的な意味合いに留まらず、かつて甲府がJ2で成績が振るわずチーム存続が危ぶまれていた時に清水が業務提携という方法で甲府を支援したという経緯もあり、クラブの意地と誇りを掛けて戦うダービーマッチとはやや違う側面もあるのが特徴だ。
両クラブの対戦成績は14勝6分5敗で清水が勝ち越している。2025シーズンは清水がJ1、甲府がJ2ということもありJリーグでの富士山ダービーは開催されないが、甲府のチーム存続危機をきっかけに繋がりを持つ清水と甲府の対戦は、単なる「富士山仲間」同士ではなく両クラブにとって思い入れのある対戦カードと言えるだろう。
Jリーグには、多摩川クラシコ(FC東京vs川崎フロンターレ)や大阪ダービー(ガンバ大阪vsセレッソ大阪)のように全国的に知られているダービーもあれば、今回紹介したようにまだあまり知られていないダービーマッチも存在する。
何でも“ダービー“とするのはいかがなものかという意見もあるだろうが、各地で開催されるダービーマッチが地域の盛り上がりや観客動員に繋がっていることは事実だ。皆さんの応援するクラブにも何らかのダービーは存在するだろう。クラブや選手だけでなく地域全体が白熱するダービーマッチ。ぜひスタジアムに足を運び現地で熱気を感じていただきたい。
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