アジア 川崎フロンターレ

長谷部イズム浸透の川崎フロンターレ。ACLE上海申花戦で窺えた充実感【現地取材】

エリソン 写真:Getty Images

エリソンが守備面で気を吐く

2月18日のACLEリーグステージ第8節、セントラルコースト・マリナーズ戦では相手センターバックにボールを簡単に運ばれる場面が散見された川崎F。この試合後の会見で、長谷部監督は筆者の質問に答えており、エリソンとMF山内日向汰の2トップの守備に注文をつけている。

ーお伺いしたいのは、フロンターレの前線からの守備についてです。チームとしての約束事がだいぶ明確だと感じました。だからこそ、大きなピンチを招くことなく今日の試合を終えられたと私は思っています。今日出場した選手たちの守備のクオリティーについて、監督の評価をお伺いしたいです。あと、前線からの守備のスイッチを入れる役割としての、エリソン選手と山内選手の評価もお願いします。

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「チームとしての守備についてですが、今日はあまり良いプレーがなかったと思います。決して悪くはなかったとも思いますが、良いボールの取り方が少なかった。大ピンチはありませんでしたけど、ディフェンシブサード(自陣ペナルティエリア付近)まで押し込まれるシーンもありました。そういう意味で、チームとしては今ひとつだったと、タッチライン際(監督が戦況を見守るテクニカルエリア)では感じていました」

「2トップへの評価は、(山内は)PKを獲得しましたし、(エリソンは)PKで得点しましたから、当然評価は良いものです。ただ、もう少しできたんじゃないかな、もう少しチャンスを広げられたんじゃないかなというふうに思っています」

守備面での物足りなさを指摘されたエリソンは、上海申花戦でハイプレスの起点として存在感を発揮。脇坂とともに相手センターバックや相手GKにプレスをかけ、上海申花のパス回しをサイドへ追いやるための初動を完遂した。

上海申花戦後の筆者の取材において、エリソンは長谷部監督から守備面で多くを求められることへの充実感を口にしている。チームへのコミットメントの高さが窺える発言だった。

ーセントラルコースト・マリナーズ戦の後、エリソン選手の守備について長谷部監督にお訊きしました。そのときは「もう少しやれたのではないか」と監督が仰っていて、この評価を踏まえつつ今日の試合を拝見したところ、エリソン選手のプレスがより鋭くなったように見えました。やはり、長谷部監督から守備面の要求が多かったですか。

「監督が変わって(川崎Fの)ゲームスタイルも変わりましたので、監督のスタイルに早くフィットできるように日頃から意識して取り組んでいます。ただ、今シーズンは(現時点で)プレーする時間がそれほど多くなく、ゲーム感が少し欠けていたのかなと思います」

「ただ、今はフィジカル面の状態が良くなっていますし、ファーストディフェンダー(守備の起点)としての役割が重要であることも理解しています。監督から要求されるのは自分にとって嫌なことではないですし、逆に自分が良い状態だからこそ要求されているのかなと思います」


川崎フロンターレ 写真:Getty Images

華やかなゴールショーでファイナルステージへ

前半途中から上海申花が[4-4-2]の守備隊形を敷いたものの、最終ライン、中盤、最前線が間延びしていたため、川崎Fとしては自由にパスを回せる状況に。両軍のプレッシングの練度や緻密さには、歴然とした差があった。

迎えた前半24分、河原のパスに反応したDF佐々木旭が右サイドを駆け上がり、ペナルティエリアの手前で左足を振る。このミドルシュートが相手ゴール右隅に突き刺さった。

2戦合計スコアを前半のうちに同点(1-1)にした川崎Fは、後半も整然とした守備からリズムを掴む。後半19分にも佐々木が右サイドを駆け上がり、相手最終ラインの背後へ浮き球を送ると、これにエリソンが反応。守備面で気を吐いていたブラジル人FWが、右足でのダイレクトシュートでゴールを挙げてみせた。

後半23分には敵陣左サイドでのパスワークに脇坂やMF大島僚太が絡み、大島のパスを受けたマルシーニョがペナルティエリア左隅へ侵入。マルシーニョのラストパスに伊藤達哉が合わせ追加点を挙げると、アディショナルタイムにも敵陣右サイドから始まった速攻をマルシーニョが結実させる。第2戦で華麗なゴールショーを披露した川崎Fが、サウジアラビアにて行われるACLEファイナルステージへ駒を進めた。

(※)本記事の試合時間は、1分以内の秒数を切り上げて表記。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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