Jリーグ 清水エスパルス

【J1開幕戦】モデルチェンジに成功した「シン・清水エスパルス」

秋葉忠宏監督 写真:Getty Images

粋な起用も見せた秋葉監督

後半40分には、2年前のプレーオフ決勝でPKを与えてしまったDF高橋祐治にも出番を与え、“トラウマ”を払拭させる粋な起用も見せた秋葉監督。さらに後半48分には3枚替えを決行し、大津高校のエースとして先月まで全国高校サッカー選手権に出場していたMF嶋本悠大をプロデビューさせた。

嶋本は、まだ卒業式を終えていないため立場的には高校生であり、体にも線の細さを感じさせるが、5分弱の出場時間にも関わらず、試合の流れを呼んでベテランのようなボールキープを披露し、テクニックとサッカーIQの高さを感じさせた。同時に、ピッチに入るなり自陣深くでファールを犯し、相手にFKのチャンスを与えてしまったDF吉田豊とは対照的だ。嶋本の堂々としたプレーぶりには、秋葉監督も「末恐ろしい」と賛辞を惜しまなかった。

この日、ベンチ入りしたものの出番のなかったMF松崎快や、キャンプから絶好調をキープしているFKドウグラス・タンキ、さらにはベンチ入りがならなかったMF矢島慎也、新加入のMF小塚和季、プロ2年目のFW郡司璃来も控えている。出場機会を巡る高いレベルでの競争が繰り広げられているのだ。

思えば現在、京都サンガのGM(ゼネラルマネジャー)を務める大熊清元GM(2019-2023)時代に獲得した選手も数少なくなり、2024年からGMに就任した反町康治氏の下での獲得戦略が実を結びつつある。

昨季加入したドウグラス・タンキに加え、カピシャーバもマテウス・ブエノもアフメド・アフメドフも“当たり”の匂いがする。大熊氏が無能だったとまでは言わないが、J2に所属しながらもJ1クラブに入ってもトップ10に入る約20億円を超える人件費に見合うチーム編成ができなかったことは事実だ。いかにGMという職務が重要なのかが分かる。


アルビレックス新潟 写真:Getty Images

試金石となる新潟戦で快勝なれば

次戦はIAIスタジアム日本平でのホーム開幕戦(2月22日)、相手は地元で練習できないというハンデを背負いながらも、開幕戦の横浜F・マリノス相手にアウェイ(日産スタジアム)で勝ち点1をもぎ取ったアルビレックス新潟だ(2月15日1-1)。前評判は決して高くなかった新潟だが、横浜FM戦では相手の3倍となる15本のシュート数を記録。受け身に回れば必ず痛い目に遭う気が抜けない相手だ。

最高の形で開幕した清水だが、J2時代には他クラブから“難攻不落”とも呼ばれたホーム戦を落とすようなことがあれば、せっかくの上げ潮ムードは消え失せてしまう。試金石となる新潟戦で快勝すれば、一気に勢いに乗る可能性を秘めている。

開幕前は決して評価が高くなく、降格候補にも数えられていた清水。開幕戦のような球際の強さを維持すれば、J1序盤戦を大いに賑わせるポテンシャルを秘めている。そう予感させる一戦だった。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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