
1月13日に幕を閉じた第103回全国高校サッカー選手権大会。国立競技場で行われた決勝では、前橋育英高校がPK戦の末に流通経済大学付属柏高校を破り、第96回大会以来2度目の優勝を果たした。
今大会では、サウサンプトン(イングランド1部)への入団が内定している日章学園高校FW高岡怜颯(3年)や2025シーズンからの清水エスパルス(J1)入りが内定している大津高校MF嶋本悠大、快速ドリブラーとして観る者を魅了する前橋育英のMF白井誠也(2年)など様々なスターがプレーし名場面が誕生した。なかでも印象的だったのが札幌大谷高校のGK高路地琉葦(3年)だ。
同大会初戦の藤井学園寒川高校戦(1-1※PK12-11)や優勝候補筆頭である大津高校との2回戦(1-2)で多くのビッグセーブを記録した高路地。大津戦の前半11分には至近距離からのシュートを左足1本で止めるなど、猛攻を浴びながらも圧巻の活躍を見せた。そんな高路地に、札幌大谷で過ごした6年間(中学校~高校)と将来へのビジョンについて訊いた。

札幌大谷で得たものと課題
ー先日の選手権はお疲れさまでした。今大会は高路地選手にとってどんな大会でしたか?
高路地:初めての選手権だったのですが、高校サッカーの集大成ということもあってすごく気持ちが入っていました。プレミア(高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024)日本一に輝いた大津高校さんと2回戦で対戦し、結果は1点差でしたが点差以上の実力差をすごく感じました。これは僕だけでなく、チームとして全国の壁を感じました。
ー夏のインターハイ(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)初戦の富山第一高校戦(3-3※PK3-0)や選手権2回戦の大津戦など、PKでのシュートストップを得意としている印象がありますが、ご自身ではいかがですか?
高路地:そうですね。PKを含めてシュートストップなどの勝負強さがあるのかなと考えています。PK戦も高校では一度も負けたことはないですし、大事な局面でのセーブや1対1の強さというところは大舞台でも発揮できたのかなと感じています。
ー寒川戦でのPKでは、高路地選手がパネンカ(※)も決めていましたよね?(※ゴール中央に柔らかく蹴ってGKを欺くシュート技法)
高路地:そうですね。(北海道)予選が始まった頃から全国大会でパネンカをすると決めていて、アンダー戦の事前練習の時も練習していました。本番はあの場(ペナルティースポット)に立つと緊張しましたが、落ち着いて真ん中に蹴りこむことが出来ました。
ーサドンデスの場面でパネンカを決める度胸には驚かされました。
高路地:ありがとうございます(笑)
ーそれでは、高路地選手が自分に「不足している」と感じる部分はありますか?
高路地:インターハイや選手権など色々な経験をさせていただいたんですが、全国のGKと比べるとフィジカル面の向上が必要だと感じました。具体的な例を挙げると、インターハイ2回戦で対戦した市立船橋高校のGKギマラエス・ニコラス選手(3年)は、当時U-17の高校選抜に入っていてハイボールの安定や体幹、体つきがすごくしっかりしていました。自分と比べると「一回り違うな」と。体作りがあってこそプレーが安定すると思いますし、守備範囲を広げたりクロスへの対応ももっと向上させないといけないと感じましたね。

ーご出身は東京ですが、なぜ北海道(札幌大谷)に進まれたのですか?
高路地:本格的にプロサッカー選手を目指すようになったのは小学校6年生の時でした。当時、プロになると言いつつ親に頼って自立していない自分がいると自覚していて、もう少し厳しい環境に身を置きたいと考えていました。そんな時、僕の父が札幌大谷を勧めてくれました。札幌大谷中学校の高向隼人監督(当時)と父が筑波大学時代の同級生ということもあって、実際に練習に参加して話を聞く中で自立出来る環境が揃っていると思い進学を決意しました。
ー札幌大谷で過ごした6年間(中学校~高校)で得たものはありますか?
高路地:(サッカーの)技術面はもちろんですが、中学から1人で寮生活だったので6年間を通じて人間的にも成長できたと思います。家族と離れて過ごす生活は不安もたくさんあったのですが、監督やコーチをはじめ、寮や学校、保護者の皆さん、地域のお店の方々までが気にかけてくださったり、家族のサポートだったり、そんな中でサッカーができるありがたみを感じました。
プロ入りを決めたチームメートの存在
ーチームメートのMF笹修大選手がFC今治(J2)に内定しましたが、高路地選手から見てどんなプレーヤーですか?
高路地:修大は高校1年生から試合に絡んだり、最後の年はキャプテンとして練習中にもキャプテンシーを発揮していました。下の選手(札幌大谷中学)にも気配りができる素晴らしいキャプテンだったと思います。修大が注目されるのは嬉しいことですが、チームとしてはダブルボランチのMF斎藤匡汰(3年)や小学生の頃に共にプレーしていたMF曽我部修羽(3年)、DF森詩音(3年)といった選手の存在や貢献も大きく、みんなで切磋琢磨して支え合ったからこそ今の修大があるのかなと思っていますし、逆に修大がいたからこそ今の僕たちがあると思います。
ー普段の練習で意識していることはありますか?
高路地:正面キャッチや基礎的な練習でも淡々とこなすだけではなく、目の前のワンプレーでも常に試合を想定して取り組むことを意識しています。
コメントランキング