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移籍の噂や開幕カードはなぜ漏れる?スポーツ紙内部事情から読み解く

サッカー記者のメモ帳 写真:Getty Images

「ジャーナリスト」の裏側

昨日までサッカーを見続け戦術を語っていた記者が、次の日から芸能人のスキャンダルを追ったり、競馬の予想をするといったことが当然のように行われているのがスポーツ紙記者の宿命であり、この世界では「サッカー担当歴ウン十年」という記者を見付ける方が至難の業だ。

サッカー界から離れることが決まったスポーツ紙の記者たちが、それまで培ってきた人脈を生かし、“書き捨て”とばかりに試合日程や移籍の噂を出稿するのはそのためである。

日本では入社試験に合格し、記者職に配属されれば「ジャーナリスト」を名乗れるが、イタリアではイタリアジャーナリスト協会に加盟した上で、18ヶ月の見習い期間の後(あるいはジャーナリズム専門学校を卒業後)、試験で合格することで初めて「ジャーナリスト」として新聞社や出版社と雇用契約を交わせる制度になっている。

一見、優れた制度にも思えるが、イタリアは日本のマスコミ界以上に“コネ”がモノを言うお国柄だ。加えてこの制度によって、現場の記者が高齢化するというデメリットも生じている。

さすがにニュースソースを「クラブ関係者」や「リーグ関係者」とし明確にしない点には、後任の記者や取材元への配慮も感じさせるが、かと言って、噂をそのまま記事にするほど彼らのプロ意識は低くない。そうしたフライング記事が本当であったケースが多いのも事実だからだ。


Jリーグ 写真:Getty Images

フライング報道は続くのか

開幕戦の相手をワクワクしながら待っているファンや、応援しているクラブの選手の移籍報道によって、不愉快な気持ちにさせられる読者も多いだろう。その怒りは執筆した記者のみならず、情報を漏らしたクラブ関係者にも向けられるかも知れない。報道によって、移籍が破談に至るリスクがあり、それが選手にとってステップアップに繋がる移籍だとしたら、キャリアにも響くことになる。

しかし、年末恒例となった“移籍スクープ合戦”は、春秋制を採用する来2025シーズンまで続くだろう。秋春制に移行する2026/27シーズンからは、このようなフライング報道は続くのだろうか。社内の人事異動がプロ野球のカレンダーに合わせたものである以上、Jリーグのシーズン真っ最中に突然サッカー担当が異動になることは考えにくく、“フライング報道”は減っていくことも予想できる。しかし、報道の真贋について、ネット上で喧々囂々の論争を楽しむ層がいることも確かだ。

応援しているクラブのお気に入りの選手の移籍報道に触れることは悲しい気持ちにさせられ、同時に来季に向けて不安感を抱くことだろう。しかし、あるJクラブを応援するということは、出会いと別れをも受け入れる覚悟も必要だ。真贋が見えない新聞報道に触れても、それを楽しむくらいの度量を持ち“話半分”といったスタンスでいたいものだ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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