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Jリーグ、審判の給料事情と環境改善案とは?J3の低すぎる報酬額も明らかに

西村雄一審判員 写真:Getty Images

 サッカーの試合において必須となる審判。明治安田Jリーグでは、2019年のYBCルヴァンカッププライムステージでVAR(ビデオアシスタントレフェリー)が初めて導入され、リーグ戦では翌2020年の開幕戦での使用を経て、2021年から正式に採用(J1のみ)され大きなルール変更となった。これまでJリーグはもちろん、ワールドカップなどの国際試合でも数多くの誤審が起こり、その度に審判には批判が相次いでいる。

 そんな中、Jリーグの審判員の給料(報酬)事情と今後Jリーグが掲げる審判育成方針などが明かされた。Jリーグは10月31日、公式YouTubeチャンネルで行っている「フットボールアフタートーク委員会」の企画で『プロABC契約の撤廃と審判を取り巻く環境を解説』というタイトルで動画を投稿。Jリーグフットボール本部の樋口順也氏と、同フットボールダイレクターの足立修氏がこれらの話題について議論している。

 樋口氏によると、Jリーグの審判員は全体で約150人。その内日本サッカー協会と契約を締結するプロフェッショナルレフェリーは20人、残り約130人は副業という形で活動しているという。プロ契約でない場合は年俸200万円以下が大半を占め、400万円以下まで範囲を拡大すると85%から90%になるとのこと。その上でJリーグは、今後S契約、A契約、B契約のように三段階に契約形態を分け、待遇面の改善と研修により力を入れ、本業の審判員を増やしていく方針があるようだ。なお、J3に至っては主審の報酬額は1試合3万円とされていることも明かされている。

 審判員の契約をSからBの三段階とすることに関しては、S契約が世界に匹敵する年俸2000万から3000万円、A契約はJリーグのプロレフェリーとされている。B契約についてはプロ契約には達しないものの、現在の副業審判より報酬や研修に使える時間を増やし、スキルを磨いていきながらJリーグ運営に貢献してもらうというものだという。

 なお、現在の日本には国際大会を裁くことができる国際審判員は24名で、木村博之氏、飯田淳平氏などが挙げられる。2014年に国際審判員を引退した西村雄一氏は、2014年に行われたFIFAワールドカップブラジル大会では開幕戦(ブラジル代表対クロアチア代表)の主審を務めた。Jリーグの審判員の中でもより経験と実績が求められ、一部の人間のみが国際試合を裁くことができる。

 レフェリーは誤審をすれば批判や罵声だけで済まず、減俸や定期間試合の担当から外されるなどのペナルティが与えられることもある。両チームの選手や監督だけでなく、ファン・サポーターなど試合に関わる多くの人物から文句を言われるという点ピッチ上で最も味方の少ない人物とも言えるのではないか。一方でナイスジャッジをしても称賛されることは少なく、メディアでも、そのような記事はほとんど見ないだろう。

 誤審に対するプレッシャーと常に戦う審判員(J3主審)の報酬が、1試合3万円はあまりに安すぎるだろう。事前の準備や移動、体力つくりなどのコンディション管理なども含めると、1試合にかかる労力はかなりのはずだ。レフェリングの質を上げるためには、報酬をはじめとする良い環境で笛を吹ける環境整備が必要不可欠になる。今後、レフェリーの待遇や環境がどのように変わっていくのか。注目していきたい。