代表チーム ポルトガル代表

C・ロナウド、ポルトガル代表時代の終焉とYouTuber新伝説の始まり

クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

ポルトガル代表でサウジアラビア1部アル・ナスルに所属するFWクリスティアーノ・ロナウドにとって、最後となったUEFA欧州選手権(ユーロ2024)。これまでのどの大会でもそうだったように、ポルトガルの中心はロナウドだった。ジョージア代表戦最後の25分を除いて、キックオフから試合終了のホイッスルまでポルトガルの全試合でロナウドはピッチに立ち続けた。

しかし、結果は振るわず。現在39歳のロナウドの最初のユーロデビューから実に7329日後、準々決勝でPK戦の末フランス代表に敗退したことで、このスーパースターがヨーロッパのトップレベルで過ごす時間はついに終わったのだと実感させられた。(ロベルト・マルティネス代表監督とロナウド本人は、この真実を受け入れようとしていない可能性もあるが…)

ポルトガル代表チームでの時間が終わったことをどの監督が告げるのか、それとも自身でそのタイミングを判断するのか。注目が集まる中、8月21日にYouTubeチャンネル『UR・Cristiano』を開設したロナウド。開設から約1時間半で登録者が100万人を超え、YouTube最速記録を更新したようだ。詳しく見てみよう。


ポルトガル代表 FWクリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

絶対的エリートとしての歴史的な記録

2004年6月12日、ロナウドはポルトガルで行われた自国開催のユーロで19歳という若さでこの大会に名を刻んだ。ギリシャとの開幕戦後半から交代で出場。そこから、ユーロ最多出場記録(6大会)、ユーロ最多試合出場(30試合)、ユーロ最多ゴール(14ゴール)、ユーロ最多アシスト(10アシスト)と歴史的な記録を打ち立ててきた。

ロナウドが脚光を浴び出したのは、2004年にマンチェスター・ユナイテッドの選手としてプレーしてからであろう。レアル・マドリード、ユベントスを経て、2021年に再びオールド・トラフォード(ユナイテッドのホーム)に復帰するまで、サッカー界の絶対的エリートとして君臨してきた。5度のバロンドール受賞、国際試合212試合で175ゴール、特に2016年の欧州選手権のタイトルは際立っている。


ロベルト・マルティネス監督 写真:Getty Images

ユーロ2024でのロナウドとポルトガル代表

ポルトガル代表は、ユーロ2024の5試合で153本のクロスを放ちクロスの数では1位だった。ちなみに2試合多くこなした優勝チームのスペイン代表は127本で2位。3位はフランス代表で119本である。ポルトガルの先発攻撃陣でヘディングを得意としていたのはロナウドただ1人。それ以外は巧みなドリブラーばかりが揃った前線だった。そのチームにとって、この数字はほとんど意味を持たなかった。

ロナウドが相手陣内で危険な状況に持ち込むことも、ほとんどなかった。グループリーグのトルコ戦では自身がシュートを打てたのにも関わらず、MFブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)になぜかパスを出して1アシストを記録したのがせめてもの救いだった。

大会前にサウジアラビアリーグでロナウドが示した得点数は驚異的で、ユーロ開幕前に期待したファンも多いだろう。ロナウドはゴール前への飛び出しとペナルティエリア内での存在感を示そうとし、彼をサポートするMFベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、FWラファエル・レオン(ミラン)、フェルナンデスといったワールドクラスの選手たちは、必死になってエースを試合に引き込もうとしていたように映った。

しかし、ロナウドはゴール前の争いでボールを奪うことはほとんどできず、ペナルティエリアへのクロスでヘディングシュートを決めることもできなかった。おまけに得意のフリーキックや決勝トーナメント1回戦のスロベニア戦ではPKすらも決めることはできなかった。

ハンブルクで行われた準々決勝フランス戦では、ロナウドがポルトガルの攻撃的プレーで、良くも悪くも大きな存在になっていることは明らかだった。フランス代表のDFダヨ・ウパメカノ(バイエルン・ミュンヘン)やDFウィリアム・サリバ(アーセナル)といった屈強なフィジカルを持つ選手に敵わなかった。

しかし、マルティネス監督はベテランストライカーをピッチに残していた。信じられなことにFWゴンサロ・ラモス(パリ・サンジェルマン)やFWディオゴ・ジョッタ(リバプール)といった代役は、120分間ベンチに置かれたままだった。


ディオゴ・ジョッタ(左)クリスティアーノ・ロナウド(右)写真:Getty Images

ロナウドはユーロ2028への出場を断念している

2022年のFIFAワールドカップ(カタールW杯)で、当時ポルトガル代表のフェルナンド・サントス監督がロナウドを決勝トーナメントの2試合でベンチから外したときから、この議論が繰り広げられてきた。ロナウドを先発で使うべきなのか?ロナウドはまだチームに必要なのか?

ロナウドはすでに、2028年にイギリスで開催されるユーロ2028への出場を否定している。結果だけをみればユーロ2024が代表チームから退く絶好のタイミングだったのは間違いない。しかし、2026年にアメリカ、メキシコ、カナダで開催されるW杯にポルトガル代表として出場するかどうかはまだわからない。ロナウドに代表チームでの時間が終わったことを告げるのはどの監督になるのか、それとも自身でそのタイミングを判断するのかに注目が集まっている。


クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

YouTuberとして新伝説の始まり

そんなロナウドの近況をメディアを通して知ることも可能だが、それだけでは伝えきれない本当の姿がある。今、彼はサッカーのピッチだけでなく、YouTubeという新たな舞台でもファンとの絆を深めようとしている。8月21日にYouTubeチャンネル『UR・Cristiano』を開設したロナウド。チャンネル開設から約1時間半で登録者が100万人を超え、YouTube最速記録を更新したようだ。SNSフォロワー数は数億人を超えており、今後登録者数がどのくらい伸びるのか気になるところだ。

YouTubeはファンにとってこれまで見たことのないロナウドの一面を垣間見れる貴重な機会となり、サッカー界を超えて新たな挑戦に挑む姿を見せてくれるのかもしれない。この伝説的なスーパースターがどのように新しいムーブメントを起こしていくのか、世界中が注目している。

名前:Mount

趣味:お酒、電子音楽、サッカー観賞
好きなチーム:日本代表、ドイツ代表
欧州某国在住、ライター、編集者

筆者記事一覧