日本代表・海外組 日本代表

酷似する森保ジャパンとU-23日本代表の課題。逆転負けのマリ戦を検証

U-23日本代表 大岩剛監督 写真:Getty Images

大岩監督の見解は

U-23日本代表を率いる大岩監督は試合後会見で、筆者の質問に回答。この会見において監督から具体的な修正ポイントは挙がらなかったが、狙い通りのビルドアップができていなかったのは確かなようだ。

日本代表のビルドアップについてお伺いします。時折ですが、選手同士の距離が開いて前後が分断されているように見受けられました。監督の主観で構わないのですが、前線の選手の立ち位置の問題なのか。それとも最終ラインやボランチの選手の立ち位置が整わず、前線にうまくボールを供給するためのパスルートを確保できなかったのか。どちらの側面が強かったかをお訊きしたいです。あと、このポジションの選手の立ち位置がうまくいっていないと監督のなかでお気づきの点がありましたら、ぜひお伺いしたいです。

「前線と最終ラインの距離があった(間延びしていた)という部分についてはもう1回映像を見ないと分からないですけど、我々が狙っていたビルドアップを出来たときと出来なかったときがあったのは事実だと思います。色々な相手の立ち位置を選手たちがしっかり判断しなければならないのと、我々が作り込んできたビルドアップが相手に合っていなかった(有効ではなかった)部分もあると思います。それはしっかり検証したなかで、我々の意図(狙い)が出たか出なかったかを評価の基準にしたいです」


森保一監督(中)写真:Getty Images

同様の問題を抱える森保ジャパン

マリ代表戦前日、筆者は国立競技場で行われたFIFAワールドカップ26アジア2次予選(兼AFCアジアカップ・サウジアラビア2027予選。朝鮮民主主義人民共和国代表戦)も取材しており、試合後の会見で森保一監督への質問機会を得ている。森保ジャパンもビルドアップに問題を抱えており、同監督自身も回答のなかで改善を誓っている。フル代表とU-23代表ともに、ビルドアップ時の選手配置は要改善事項だ。

ーお伺いしたいのは、日本代表のビルドアップについてです。4バックが低い位置(自陣後方)で横に広がり、なおかつサイドバックがタッチライン際に立つ場面が時折ありました。それによってパスコースが無くなりかけたり、相手のプレス(寄せ)をもろに浴びかけたりする場面があったように見受けられました。森保監督としては何か意図があって「これで良し」としていたのか、それともこれとは違う理想的な配置があったのか。監督がどうお感じになられていたかをお訊きしたいです。

「(狙いは最終ラインの)4人でピッチの横幅68メートルを受け持って、ボールを動かすということです。(戦況の)受け取り方には色々あって、パスコースが無くなるという受け取り方をされたということですけど、マークに付かれることで相手の陣形がどう変わるかを考えると、(日本代表の4バックが)幅を広くとれば、相手(の守備隊形)を広げることができる。パスが繋がったかどうかは分からないですけど、そういうこと(攻撃)もできます」

「相手が幅をマークせずに(守備隊形を横に広げずに)中央を締めてくれば、サイドバックがボールを受けられる。こういうビルドアップのやり方があっても良いのかなと思います」

「(ビルドアップが)うまくいっていないと捉えられるというのは、改善の余地があるということだと思います。仰る通り1点取った後、もう少しスムーズに(ビルドアップ)できる場面もあったと思いますので、そこはチームの改善点として取り組んでいきたいです」

フル代表とU-23代表に共通している悪癖は、ビルドアップ時にサイドバックが自陣後方且つタッチライン際に立つことで、相手サイドハーフのプレスをもろに浴びる状況を作ってしまうこと。ここにサイドバックが立ってボールを受けても、自身の傍にはタッチラインがあるため左右どちらかのパスコースが必然的に消える。また、サイドバックの前に立っている味方サイドハーフにも相手のマークが付くため、サイドハーフが前向きで(相手ゴール方面を向いて)ボールを受けられる確率も低い。森保監督も大岩監督も、このリスクを鑑みてビルドアップの配置を再考すべきだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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