3月21日、サッカー日本代表は国立競技場で北朝鮮代表とFIFAワールドカップ26アジア2次予選で激突。前半2分にMF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)のゴールで先制点を奪うも、その後は攻撃が停滞し何度か危うい場面も見られた。予想に反し苦戦を強いられた日本代表だが、最初の1点を守り抜き1-0で勝利している。
26日に平壌で行われるはずだったアウェーでの試合が中止になるなど、予想外の展開となっている北朝鮮戦。しかし、このままアウェーに乗り込まずによかったという安堵感があることも確かだろう。かろうじて白星を挙げた今回の戦い。日本代表は明らかにうまくいっていなかった。本記事ではその理由について考察する。
単調な攻撃陣とバリエーションの少なさ
この試合における最大の問題点は効果的な仕事を果たせなかった攻撃陣にある。田中の先制点が開始早々決まったこともあり、スタジアム全体には快勝のムードが漂っていた。しかしその潮目が変わり始めたのは前半13分、MF堂安律(SCフライブルク)が相手GKと1対1の局面を外してしまった後からである。この非常に惜しいシーン以降、日本は決定的なチャンスをほとんど生み出すことができずに前半を終了。ボールの主導権を握っていたにも関わらず1-0で折り返すと、後半開始直後にはオフサイドの判定ながらゴールネットを揺らされてしまうなど、徐々に流れを相手に握られてしまった。
付け入る隙を与えていたのは日本代表の単調な攻撃だ。この試合で先発していたFW上田綺世(フェイエノールト)は相手を背負うことに関して言えば一級品の活躍を見せていたが、裏抜けやスペースメイクなどの仕事を実行することができず、さらには点取り屋としての脅威も感じさせることができなかった。また、MF南野拓実(ASモナコ)もほとんど試合に関与することができず、得意とする相手との間でボールを受けるようなシーンもあまり見られなかった。結果的に日本のボール回しが外回り気味となり、攻撃は大半がサイドからによるものだった。
的が絞られれば守備も幾分かはやりやすくなる。日本代表が主軸としていたサイド攻撃も、驚異的であったと呼ぶのは難しい。左サイドで先発したFW前田大然(セルティック)は攻撃と守備面で何度も献身的な働きを見せ相手に不自由を与えていたことも事実だが、そのインパクトが攻撃面でも十分であったかは疑問だ。左サイドにおける崩しは未完成であり、同じく左サイドのDF伊藤洋輝(VfBシュツットガルト)との連携は皆無に等しかった。左サイドからの攻撃は、前田が持ち前のスピードで相手DFをズラしクロスを上げるというものがほとんど。前田が中央に切り込む場面は少なく、ワンパターン化された攻撃はいつ対策されても不思議ではなかった。
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