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日本代表が北朝鮮代表相手に苦戦したワケ【W杯26アジア2次予選】

日本代表 DF板倉滉 写真:Getty Images

再び浮き彫りになったロングボール対応

結果的に、北朝鮮代表は試合が進むにつれて守備をコンパクトにしており、奪ってから速攻という形を何度も作り出す。幸い速攻には厚みがなく日本DFと北朝鮮FWが個々で対峙したときは、そのレベル差から攻撃をシャットアウトできていたが、相手FWにペナルティーエリア付近まで何度も侵入されてしまったことは明らかな問題である。AFCアジアカップ2023から続くロングボール対応が、日本代表の今後の課題として再び浮き彫りになった。

北朝鮮とは対照的に、日本はボールを奪ってからの速攻もやや消極的に映った。自陣中央でボールをカットしてもそこから相手DFラインの背後に蹴りこむようなシーンはなく、速攻が可能な場面であってもボールはDF板倉滉(ボルシアMG)やDF町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)のところまで戻ってしまう。この試合での日本代表は、攻撃に関するチャレンジがあまり見受けられなかった。

2月3日に行われたアジアカップ準々決勝(イラン戦)以前は、ロングボールや自陣の深い位置でのセカンドボールを繋ぐ意識と自信が感じられたのに対し、今回は単純なクリアが目立った。そのクリアが再び相手選手に拾われてしまうことも多く、前がかりになった相手をカウンターで仕留めることができず。後半は特に悪い意味で相手にペースを合わせてしまっていた。DF冨安健洋(アーセナル)が不在の影響も大きかったのかもしれないが、セーフティーな試合運びやボール回しが目立っており内容では圧倒できずに終わった。


日本代表 DF谷口彰悟 写真:Getty Images

本物の自信を得るためのプロセス

しかし、終盤で披露した5バックは一つの進歩かもしれない。日本は試合終盤にDF谷口彰悟(アル・ラーヤン)とDF橋岡大樹(ルートン・タウン)を投入。フォーメーションをそれまでの4-2-3-1から5-2-3に変更した。試合はそこから落ち着きを取り戻し、ゲームの中で意図的に戦い方を変化させることには成功した。今後も拮抗した試合が続くことを考えれば、自チーム主導のアクションにより試合を安定させられる手段は多用されるだろう。

北朝鮮戦で日本代表から欠落していたもの、それは「自信」だったように思う。ボールを後方から繋ぐ自信、ロングボールを収める自信、1対1で勝負する自信、遠くからでもシュートを打つ自信。「どんな相手にも勝てる気がする」という自信が以前は感じられていた。しかし、それが幻想だったことをイラン戦での敗北により痛感したのではないか。だがそれは決してマイナスではない。自分たちがいる本来の立ち位置を再認識することは、幻想ではなく本物の自信と実力を得るために必要なプロセスではないだろうか。そのために、まずは目の前の試合で自分たちのやりたいことを実現し、勝利することが重要だ。

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名前:浅野 凜太郎

趣味:サッカー観戦、旅行、音楽鑑賞、撮影
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