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惜しくも皇后杯準優勝の浦和。猶本光、安藤梢不在でも見せつけた組織力

塩越柚歩(左)柴田華絵(右)写真提供:WEリーグ

皇后杯JFA第45回全日本女子サッカー選手権大会の決勝戦が、1月27日に行われた。ヨドコウ桜スタジアム(大阪府大阪市)でのこの大一番で、三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサが激突。45分ハーフの前後半を終えた時点で、スコアは1-1。15分ハーフの延長戦では得点が生まれず、勝敗はPK戦に委ねられた。

PK戦では浦和のGK池田咲紀子が神戸のMF成宮唯のシュートを防いだほか、神戸のGK山下杏也加も浦和のMF塩越柚歩のシュートをストップ。両軍とも5人中4人成功とここでも激戦となったが、後攻の浦和の7人目キッカーMF伊藤美紀のシュートが失敗に終わった瞬間、神戸の優勝が決まった(PK戦スコア6-5)。

ここでは今回の皇后杯決勝を振り返るとともに、神戸を苦しめた浦和の戦いぶりに焦点を当て論評する。


浦和レッズレディースvsINAC神戸レオネッサ、先発メンバー

浦和が突いた神戸の泣きどころ

浦和にとって不安材料だったのが、MF猶本光とFW安藤梢が1月20日の皇后杯準決勝(サンフレッチェ広島レジーナ戦)で負傷し、今回の決勝戦に間に合わなかったこと。攻守両面のクオリティー低下が懸念されたが、浦和はこの2選手を欠いたなかでも、基本布陣[3-1-4-2]の神戸とキックオフ直後から互角に渡り合った。

[4-2-3-1]の基本布陣で臨んだ浦和がまず突いたのは、神戸の3バックと中盤の底を務めたDF松原優菜の間。前半3分に浦和のMF塩越柚歩がこのスペースでボールを受けたことで、同クラブにチャンスが訪れた。

トップ下を務めた塩越がこの場面で味方DF石川璃音(センターバック)からのロングパスを受け、軽快なターンでボールを保持。最終ラインから飛び出した神戸のDF三宅史織とボールの間に自身の上半身や足を入れ込み、なおかつ三宅に当たり負けしなかった塩越の屈強なフィジカルが際立っていた。塩越のラストパスを受けたFW島田芽依が、サイドネットを揺らす惜しいシュートを放っている。

前半5分には神戸のMF北川ひかる(左ウイングバック)の背後で島田がボールを受けてポストプレーを担ったほか、同7分には浦和のFW清家貴子(右サイドハーフ)がタッチライン際から内側へ立ち位置を移し、神戸のアンカー松原の両脇のスペースを突く。浦和は試合序盤に、相手の布陣の泣きどころを的確に狙えていた。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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