Jリーグ

「DAZN値上げで負担転嫁」巨額のJリーグ放映権契約に海外「見通し甘い」

DAZN 写真:Getty Images

 スポーツ動画配信サービス『DAZN』は、2017年から明治安田生命Jリーグの公式戦を配信。複数回にわたる月額料金の値上げ、2024シーズン以降のJ3リーグ放映権手放し、カターレ富山の公式サイトに一時掲載された現状報告に注目が集まる中、海外メディアがDAZNとJリーグの放映権契約に疑問の目を向けている。

 DAZNは2016年8月23日に日本国内でのサービス提供を開始すると、2017年からJリーグやラ・リーガ(スペイン1部)などサッカー中継もスタート。Jリーグとは2017年から10年間で約2100億円という放映権契約を結ぶと、今年3月には契約を見直し。2023年から2033年までの11年間で約2395億円という契約内容で合意に達したが、この新契約には「DAZNが来季以降のJ3放映権を手放し、Jリーグが引き取る」という条項が盛り込まれている。

 韓国メディア『フットボリスト』は「放映権大当たりのブーメランとなったDAZNが、Jリーグのジレンマになる可能性」と見出しをうち、DAZNによるJリーグ中継の現状を特集。

 両者が2017年に締結した放映権契約について「DAZNはJリーグを重要なパートナーとして、日本のスポーツ中継市場を開拓する青写真を描いていた」とした上で、「これまで『スカパー!』が支払っていた放映権料の4倍に及ぶ金額によりDAZNと契約を結んだJリーグへの称賛が相次いだ一方、市場を冷静に分析するのではなく、DAZNのポテンシャルだけで過大評価したとの批判もあった」と指摘している。

 また同メディアは「DAZNの契約者が当初の目標を大幅に下回っている」とした上で、2017年の放映権契約時の見通しの甘さや、DAZN月額料金値上げに至るまでの過程について、以下のように綴っている。

 「DAZN契約者数は100万人を超えた後、頭打ち状態だ。DAZNは日本の潜在的なサッカーファンの数を約3200万人と見積もり、2017年の放映権獲得時には目標を400万人に定めていたが、その目標には及んでいない」

 「契約者からの月額料金徴収だけでは放映権への投資を回収することが難しくなったことにより、Jリーグは契約更新の過程でDAZNに有利な契約内容を追加し続けている。J3リーグ中継については、視聴者数の低迷を理由に契約更新を見送ることが決定。地上波放送による追加収入をDAZNに提供することも決まった」

 「とはいえDAZNの状況は一向に改善されず、その負担は最終的に契約者に転嫁されているようだ。DAZNがサービスを開始した2017年当時、月額料金は1780円(通常申し込みの場合)だった。当時は携帯キャリア数社と提携し、980円という低価格で視聴可能だった」

 「しかし2022年には3000円に値上げすると、今年の契約更新で3700円に。物価上昇を考慮しなければならないが、Jリーグのファン・サポーターにとっては、『スカパー!』の2980円よりも高い月額料金を支払って見なければならないのが現状である」

 なおDAZNの放映権料や月額料金値上げについては、今年10月28日に富山がファン・サポーター向けに開催した「第3回秋春シーズン制移行タウンミーティング」でも議題に挙がったとのこと。

 同クラブが一時掲載していたタウンミーティングの報告書(現在は削除)では、「放映権料について、当初、Jリーグはダゾーンと年間視聴者数を100万人でグリップしているが、現在は40万人程度に留まっているため、ダゾーンは大赤字となっている」と記されていた。