イングランド2部のチャンピオンシップ第15節が日本時間11月5日に行われ、MF三好康児が所属するバーミンガム・シティはホームでイプスウィッチ・タウンと対戦した。
バーミンガムは10月9日にジョン・ユースタス監督を電撃解任し、マンチェスター・ユナイテッドやイングランド代表でも活躍したウェイン・ルーニー監督が11日に就任したものの、3連敗を喫しており順位を14位(勝ち点18)に下げていた。一方のイプスウィッチは、勝ち点34でプレミア自動昇格枠の2位につけている。
同試合バーミンガムは前半に先制すると後半には相手オウンゴールで2-0とし有利に進めるも、その後2失点して2-2のドローに終わった。ルーニー体制初勝利とはならなかったものの連敗を脱出。新監督にとって初めての勝ち点1を獲得した。三好は2試合ぶりの先発出場で好機を演出し85分に交代した。
三好へのインタビューからルーニー監督が指揮を取るバーミンガムの現在の状況について見ていこう。
ルーニー監督就任後のバーミンガム
ユースタス前監督は基本フォーメーションを【4-2-3-1】に固定していたが、ルーニー監督は主なフォーメーションを【4-3-3】に変更。ユースタス政権下ではトップ下として絶大な信頼をつかんでいた三好も、ルー二ー監督のもとでは直近3試合で先発出場は1試合のみと序列が変化していたバーミンガム。
ルーニー監督就任後、3連敗を喫して守備の脆さが露呈し、合計得点数も1得点のみと攻撃に課題が出ていた。前ユースタス監督は守備を固めつつ、ボールを奪ったら三好を中心に速攻を仕掛ける堅守速攻のスタイルだったが、現在は後方からビルドアップをするポゼッションサッカーを目指すようになる。
両者のプレースタイルがあまりに異なることから、観客にも伝わるほど明らかに選手たちが戸惑ってプレーをしているほどで、選手間の連携がチグハグになっている場面が多く見られた。結局、個の力で打開しようと試みるものの、パスが繋がらず相手にボールを奪われ失点を重ねるという負の循環に陥っており、フィジカル面で劣る三好はサブに回っていた。
新体制後3試合の結果は以下の通り。チャンピオンシップ第12節(10月21日)ミドルズブラ戦0-1。第13節ハル・シティ戦(10月25日)0-2。第14節サウサンプトン戦(10月28日)1-3。
なぜ監督交代は行われたか
10月のインターナショナルブレイク前は6位だったが、監督交代後は14位にまで順位を下げてしまったバーミンガム。好調だったタイミングで監督交代理由は、オーナーである米投資会社ナイトヘッド・キャピタルマネジメントの意向であるとされている。
バーミンガムのCEOであるギャリー・クック氏は、ファンに向けた声明の中で前監督解任理由について「数ヶ月にわたってユースタス監督とミーティングを重ねた結果、クラブの方向性に違いがあることが明らかになった」と説明しているが、詳細については触れられていない。
機を同じくしてルーニー監督は10月4日、米MLSのDCユナイテッドの監督を辞任しており、フリーとなっていたのは偶然ではないだろう。この時点でルーニー監督がバーミンガムに就任するという報道が一部の海外メディアで飛び交っていた。
ユースタス前監督はナイトヘッド・キャピタルマネジメントがチームを買収する前から就任していた監督であり、アメリカでも知名度の高いルーニー監督と共に新オーナーの独自色を出していきたいことが目的だったのではと、現地のジャーナリストの間では考えられている。
変化が見られた第15節の試合展開
新体制後初の勝ち点獲得となった今第15節のイプスウィッチ戦。バーミンガムは【4-2-3-1】を採用した。前節までと打って変わって、前線が積極的に相手DFラインにプレスをかけるハイプレスサッカーで臨む。高い位置でボールを奪える機会が増え、両サイドからチャンスを作れるようになる。
慣れたトップ下ではなく右サイドハーフでの先発出場となった三好は、得点に繋げることができずも積極的なプレスで相手のミスを誘発し、クロスや決定的なパスを出してチャンスを演出した。
これまでのルーニー体制とは見違えるような自信が見られた選手たちに、筆者をはじめメディア席にいた記者たちも驚いたが、「このハイプレスは後半まで保つのだろうか」という心配が的中してしまう。前半に2得点を奪うも、後半になると疲れが見え始め77分に左サイドを崩されると失点。85分に三好を下げて攻撃的な選手を投入するも終了間際に2失点目を許し、ルーニー監督待望の初白星を惜しくも逃してしまった。
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