的確だったなでしこの守備プラン
なでしこジャパンは守備面でも隙を見せず。特に、ザンビア代表が最終ラインからパスを繋ごうとした際のプレッシングが的確だった。
最前線の田中美南がザンビア代表の2センターバックからS・バンダ(中盤の底)へのパスコースを塞ぎ、相手のパスワークをサイドへ誘導。自陣後方のタッチライン際に立っていたザンビア代表の両サイドバック(マーガレット・ベレムとマーサ・テンボの両DF)にボールが渡るやいなや、ここへ宮澤と藤野の2シャドーがプレスをかけた。
このザンビア代表の両サイドバックへの守備が前半から威力を発揮していたほか、田中がS・バンダを捕捉し続けたことで、相手の縦に速い攻撃や中央でのパスワークを阻止。苦し紛れのロングパスも誘発し、これをなでしこの面々が悠々と回収していた。
窺えた東京五輪からの成長
2021年の東京五輪で指揮を執った高倉麻子前監督は、明確な守備戦術を自軍に落とし込めず。ゆえに当時のなでしこは最終ライン、中盤、最前線の3列が間延びし、プレスの連動性に欠ける場面がしばしば。攻撃も高倉前監督のもとでは選手個々のスキルやアイデアに依存したものが多く、チーム全体としてのプレー原則や立ち位置の約束事が窺えなかった。
同大会準々決勝では最終ラインや中盤の隊形変化が激しいスウェーデン女子代表に歯が立たず、1-3で敗北。戦術不足のなでしこに厳しい現実が突きつけられた。
2年前の漫然とした攻守から一転、なでしこは今回のワールドカップ初戦でソリッドな戦いぶりを披露。2018年に行われたU-20女子ワールドカップで、ヤングなでしこ(U-20日本女子代表)を世界一に導いた池田太監督が高倉前監督の後を継いだことで、なでしこジャパンの戦術レベルが引き上げられた。
次戦以降も自分たちのストロングポイントの発揮と、相手の特長の封じ込めを両立できるかに注目していきたい。なでしこジャパンが今大会でサプライズを起こす可能性は、十分にあるだろう。
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