中央のプレーで広がった幅
ー第20節ファジアーノ岡山戦を除いて、第14節からはすべてスタメン出場。セットプレーのキッカーとしてアシストも増えています。ご自身のプレーはどのように感じていますか?
北島:今年は[4-3-3]のインサイドハーフや左のウイングをやってるんですけど、これまでプロに入ってから中央でのプレーはあんまりしてこなくて。そういう意味では、自分のプレーの幅は広がったなと感じています。中央でも外でもどっちでもやれると、より相手は怖くなって(中央とサイドの)どっちに来るのかなと悩んだ対応になるので、自分のキャリアにとっても良い成長の仕方ができているのかなと思います。でも、アシストだけじゃなくてゴールにもこだわってやっていかないと、もっと怖い選手にはなれません。今はより怖さを追及しています。
ー得点という面では、中央でプレーしたほうが目指しやすいのでは?
北島:はい。よりゴールまでの距離が短くなるので、相手が予想してないようなターンや、ターンからのワンツーで剥がしてシュートなど、シュートの本数は真ん中の方が増やせると思います。ミドルシュートだったり、味方を使ってもう一回自分がゴール前で(パスを)受けてのシュートというのに、今(練習で)取り組んでいるところです。
ー中央とサイドでは、気を付けるべき角度が違いますよね?
北島:ヴェルディに来て最初にインサイドハーフをやった時は、なにか少し感覚のズレがありました。首を振るタイミングや、相手の位置を確認するタイミングなどはサイドの時とは全く違うので、頭の中をより研ぎ澄ましています。真ん中だと360度から相手が来るので、練習の中から相手が「こっちから来るのかな、逆から来るのかな」とか見て、ボールを受ける前の準備をしています。毎日のポゼッション練習から意識していたことで、徐々に真ん中とサイドの切り替えが、頭の中でできてきたかなと思います。
ー試合によってフォーメーションやポジションが違いますが、どういう準備をしていますか?
北島:試合の2日前から3日前くらいにフォーメーションが何となくわかるので、そこでイメージしておきます。ピッチの中だけじゃなくて、家に帰って練習の動画を振り返ったりして、自分がサイドでやるのかインサイドハーフでやるのか、どっちも想定します。どっちでも対応できるようにしています。
ー毎回、映像を振り返りますか?
北島:毎試合、2回くらいは観ていますね。「自分がこのポジションだったらこうするだろうな」とか「もし自分がこの選手の立ち位置で同じようにボールを受けたらどうするのかな」とかを意識して。それを考えておくと、(試合中の)似たようなシーンでふとひらめくと思うので。頭の中の準備を、試合が終わっても振り返りでやっています。
アイデアやひらめきは幼少期から
ー北島選手のプレーからは創造性を感じます。どうやって身に付けたものなのでしょうか?
北島:元々小さい頃から、相手を騙すようなプレーが好きでやっていました。今試合に出て自分のプレーが十分できるようになって落ち着きや余裕が生まれたので、ようやく元々持っていたアイデアやひらめきというのが発揮できているのかなと思います。プロに入ってから、そういうの(創造性)を磨いたという感覚はないです。
ー第21節の群馬戦(2-2)では、ペナルティエリア左でボールを受け、一時逆転となる山田剛綺選手のゴールをアシストしました。目線は中央を向きながらノールックで前方の山田選手にパスを出していて、まさに創造性が発揮されてましたね。
北島:山田選手からボールを受けた時に、僕の右側を同点ゴールを決めた稲見(哲行)選手が走ってきました。相手からすると(1点目に)稲見選手にミドルシュートを決められてるので、僕も横に出すような体の向きをして、実際に稲見選手に出そうと思っていました。でも僕のトラップがちょっと流れちゃってボールの置き所が悪かったので、出すのは無理だなと判断したんです。
その時に山田選手の声が聞こえて、山田選手の位置は見てないんですけど「ここに走ってるだろうな」と判断しました。日頃の練習もそうですし、試合を見ていて山田選手はあそこに走ってることが多いので。本当にイメージと最後の判断だけでパスを出したという感じです。自分の感性というか、感度は間違ってなかった、正解だったんだなという自信になりますね。
地道な積み重ねや試合に向けての準備をすること。自分を信じて続けること。簡単なようでとても難しいしそれを、北島は変わらず実行し続けてきた。
後編では、今季への覚悟、福岡時代から密に連絡を取る選手、東京Vで仲の良い選手、城福浩監督の凄さ、オフの日の過ごし方などを伺っている。
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