CL/EL チャンピオンズリーグ

【CL準決勝】インテルとミランの明暗を分けたのは。第2戦を徹底検証

インテル MFヘンリク・ムヒタリアン 写真:Getty Images

流麗だったインテルのパスワーク

第1戦で流麗だったインテルの自陣後方からのパスワークは、今回の第2戦でも威力を発揮。前半途中に負傷交代を余儀なくされたものの、MFヘンリク・ムヒタリアンの遅攻時の奮闘が光っていた。

象徴的だったのが、インテルが自陣後方からパスを回した前半13分の場面。ここではムヒタリアンがミランのトップ下ディアスの隣に降り、味方DFアレッサンドロ・バストーニからの縦パスを受け取り。ムヒタリアンのワンタッチパスをタッチライン際で受けたDFフェデリコ・ディマルコがロングパスを繰り出すと、このボールが左サイドへ走ったFWジェコに繋がる。

その後ジェコ、MFデンゼル・ドゥンフリース(右ウイングバック)、MFニコロ・バレッラ(インサイドハーフ)の順でボールが渡り、インテルが決定機を迎えている。自チームの最終ラインの選手のパスコースを増やすための立ち位置を、瞬時にとれるムヒタリアンの特性が活きた場面だった。


シモーネ・インザーギ監督 写真:Getty Images

明確だったインテルの攻撃プラン

ミランのハイプレスを浴びた際のインテルの攻撃プランは、2試合ともシモーネ・インザーギ監督によって緻密に落とし込まれていた。

第1戦では、GKオナナもしくは最終ラインから長身FWジェコを目がけたロングパスでの局面打開が目立ったが、第2戦はインテルのウイングバックからミランのサイドバックの背後へのパスがメインに。先述の攻撃シーンが典型例で、ここでもミランのDFダビデ・カラブリアの背後にジェコが走っている。ミランの攻撃的な両サイドバック(カラブリアとDFテオ・エルナンデス)の背後を優先的に狙うプランがインテルの選手間で浸透しており、これが同クラブの良好なパフォーマンスに繋がった。

ミラノの地で行われた今回の準決勝2試合は、攻撃の完成度でミランを上回ったインテルの完勝と言って差し支えないだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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