セリエA インテル

ナポリに続きミランも粉砕。インテルのスーペルコッパ制覇の要因は【試合分析】

ミランvsインテル、両軍の先発メンバー

猛威を振るったインテルのハイプレス

ネッラズーリ(黒と青)の最大の勝因は、緻密かつ獰猛なハイプレスでミランのパスワークを封じたこと。

ジェコとマルティネスの2トップが、基本布陣[4-2-3-1]のミランの2センターバック(シモン・ケアーとフィカヨ・トモリ)にプレスをかけ続けたほか、ミランの両サイドバック(ダビデ・カラブリアとテオ・エルナンデス)が自陣後方でボールを受けようとした際には、ここにディ・マルコとダルミアンがアプローチ。2センターバック間へ降りてボールを受けようとしたボランチのイスマエル・ベナセルも、インテルの中盤の底ハカン・チャルハノールやインサイドハーフのヘンリク・ムヒタリアンに追跡された。

ミランの左サイドバック、テオ・エルナンデスが自陣のハーフスペース(ピッチを縦に5分割した際の、左右の内側のレーン)にポジションをとった際には、インテルのMFバレッラがアタック。右のハーフスペースを駆け上がり、ミランの攻撃に厚みを加えようとしたカラブリアにもムヒタリアンが付きまとうなど、相手の両サイドバックのポジション移動やインナーラップに対するインテルの備えは万全だった。

ミラン MFブラヒム・ディアス 写真:Getty Images

ミランの遅攻のキーマンであり、この試合でも右のハーフスペースを上下動し味方からのパスを捌こうとしたブラヒム・ディアスには、3バックの一角アレッサンドロ・バストーニとチャルハノールが適宜マークを受け渡して対応。バストーニの最終ラインからの果敢な飛び出しも然ることながら、敵陣ではベナセル、自陣ではディアスを封じてみせたチャルハノールの守備の貢献度は抜群に高かった。背番号20のトルコ人MFが、守備面で複数のタスクを完遂したこと。これもネッラズーリの勝因のひとつと言えるだろう。

日本時間1月5日のセリエA第16節では、それまでリーグ戦無敗記録を継続していた首位ナポリを破ってみせたインテル。今季序盤の不調から抜け出しつつある同クラブが、国内リーグ後半戦や2月から始まるUEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16に向けて攻守の練度を高められるかに注目だ。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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