その他 ワールドカップ

カタールW杯を背負う6名の女性レフェリーとFIFAの想い

ニウザ・バック審判員 写真:Getty Images

主審と共に重要な役割を担う可憐な副審3名

ブラジル出身:ニウザ・バック(副審/1984年生)

2005年、大学の体育学部在学中に兄の薦めで審判の勉強を始めたというブラジル出身のニウザ・バック審判員。ブラジルのサンタカタリーナサッカー連盟が毎年開催している審判員養成コースで、2008年に優秀な成績を収めて認定証を取得。翌2009年から本格的な審判員のキャリアを開始する。

当時はトップリーグでの仕事は少なかったが、2010年から徐々に大規模な大会で声が掛かるようになっていき、2014年にFIFAの審判員として登録を果たす。2019年には女子W杯フランス大会の準決勝(イングランド対アメリカ)の副審を担当、その他にも数々の大会で決勝戦などの重要な試合に採用されている。審判として注目の人物だ。


カレン・ディアス審判員 写真:Getty Images

メキシコ出身:カレン・ディアス(副審/1984年)

本格的に審判をする前は、スポーツセンターの喫茶店で働いていたというメキシコ出身のカレン・ディアス審判員。ある日、偶然サッカーリーグの担当者が入店し「今日の試合の審判員が急遽欠員となったので審判をしてみないか?」と声を掛けられたそうだ。それが全ての始まりとなり、審判という仕事の魅力にハマることになる。

サッカーが大好きという気持ちを原動力に経験を積み、2018年にFIFAの審判員として登録を果たす。同年のCONCACAF(北中米カリブ海)U-17女子選手権、同じくCONCACAF U-20男子選手権で副審を務めた。その後も様々な大会から声が掛かる中で、今カタールW杯の副審としての切符を手に入れた。


キャサリン・ネスビット審判員 写真:Getty Images

アメリカ出身:キャサリン・ネスビット(副審/1988年生)

子供時代に毎年夏にサッカーをする機会があり、勝敗を分けるスポーツの競争力や努力をするという行動力に徐々に夢中になったというアメリカ出身のキャサリン・ネスビット審判員。

2019年の女子W杯フランス大会の直前まで、審判とは全く別の肩書という異色の経歴をもつ。アメリカのメリーランド州にあるタウソン大学で研究所を立ち上げ、教育や脳化学物質の分析、開発などの研究を行っていたそうだ。その経歴と、現在の副審の仕事は、かけ離れているようで実は複雑に結びついているのだという。

2020年アメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)の審判として活躍時に、初の女性副審として決勝戦に指名された。そして今カタールW杯の副審担当と、順調にキャリアを積んでいる。分析を得意とするネスビット氏の判断は、主審も非常に頼もしく感じているだろう。


カタールW杯組み合わせ抽選会 写真:Getty Images

FIFAの目指すところは

以上カタールW杯で活躍する6名の女性審判員を紹介した。この意向についてFIFAは、国籍や性別に関係なく審判の質を重要視すること、そして将来的には様々な大会で女性審判員が活躍する状況が通常のこととして認識されるようにすること、を目標として掲げている。

2022年このカタールW杯で、FIFAが史上初めての女性審判員起用したことについて、今世界中の多くのメディアが珍しいこととして話題に取り上げている。しかしFIFAとしては、これを誰もが話題にしない状況、性別問わず誰もが活躍して当たり前の世界へと変わっていくことを願いに込めているようだ。

来2023年開催予定の女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会(7月20日から8月20日)ではどんな審判員の活躍が見られるのか、引き続いて今から非常に待ち遠しい限りだ。

ページ 2 / 2

名前:Molly Chiba
趣味:自然散策、英国のあれやこれやをひたすら考えること
好きなチーム:トッテナム・ホットスパーFC

東北地方の田園に囲まれ育ちました。英国のフットボール文化や歴史、そして羊飼いやウールなどのファッション産業などに取り憑き、没入している日本人女性です。仕事のモットーは、伝統文化を次世代に繋ぐこと。

筆者記事一覧