ワールドカップ ブラジル代表

ネイマール抜きでも大丈夫。スイスを苦しめたブラジルの戦法とは【W杯試合分析】

ブラジル代表はジャカやフロイラーを捕捉しながらプレッシング

遅攻の質も高かったカナリア軍団

この日のブラジル代表はハイプレスからの速攻のみならず、遅攻でもスイス代表を苦しめる。

同12分30秒すぎには、ミリトンからのパスを受けたカゼミーロがジャカとフロイラーを引きつけ、僅かに開いたスイス代表のDFニコ・エルベディと左サイドバックのロドリゲスの間にパスを供給。ここに立っていたフレッジからリシャルリソンにテンポ良くパスが繋がり、ブラジル代表がチャンスを迎えている。

スイス代表 MFレモ・フロイラー 写真:Getty Images

同18分20秒すぎにも、センターバックのチアゴ・シウバがフロイラーとファビアン・リーダーの間が開いていることに気づき、ここに縦パスを通す。ハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)に立っていたパケタがボールを捌き、ここからブラジル代表のサイド攻撃が始まった。直後にパケタが惜しいクロスをゴール前に送っている。

スイス代表は前半の途中から自陣に撤退し、ブラジル代表にボールを持たせたものの、センターバックとサイドバックの間、及びサイドハーフとボランチの間が開く場面が散見され、ここをブラジル代表に狙われる展開に。失点シーンでも、タッチライン際でボールを保持したビニシウスにスイス代表の複数の選手が引きつけられ、これによりカゼミーロのハーフスペースへの侵入を許している。1得点に留まったものの、ブラジル代表がネイマール抜きでも質の高い遅攻や、組織的なハイプレスからの速攻で試合の主導権を握れることを証明した一戦だった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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