ワールドカップ ブラジル代表

ネイマール抜きでも大丈夫。スイスを苦しめたブラジルの戦法とは【W杯試合分析】

レモ・フロイラー(左)ルーカス・パケタ(右)写真:Getty Images

FIFAワールドカップ・カタール2022のグループステージ第2節が11月29日(日本時間)に行われ、グループGのブラジル代表とスイス代表が対戦した。

後半38分に、敵陣左サイドでボールを受けたビニシウス・ジュニオールが中央に侵入すると、ロドリゴ、カゼミーロの順でショートパスが繋がる。ペナルティエリア左隅でカゼミーロが右足を振り抜き、先制ゴールを挙げた。これが決勝点となり、ブラジル代表が1-0で勝利している。

ネイマールを負傷で欠きながら勝ち点3を積み上げ、決勝トーナメント進出を確定させたブラジル代表。堅守が売りのスイス代表に対し、どのように立ち向かったのか。この点について解説する。

ブラジル代表vsスイス代表、スターティングメンバー

チッチ監督が徹底させたのは

カゼミーロを中盤の底に置く[4-1-2-3]の布陣で臨んだブラジル代表は、ビニシウス、リシャルリソン、ハフィーニャの3トップと、左インサイドハーフのルーカス・パケタの計4人でスイス代表の4バックにプレッシング。最終ライン付近に降りてビルドアップに加わろうとした基本布陣[4-2-3-1]のスイス代表のボランチ、グラニト・ジャカには原則として右インサイドハーフのフレッジが密着した。

前半11分20秒すぎに、このプレッシングが早速威力を発揮する。パケタがスイス代表の2ボランチの一角レモ・フロイラーへのパスコースを塞ぎ、左ウイングFWのビニシウスが対面のDFシルバン・ビドマーを、フレッジがジャカを捕捉したことで、相手のパスをブラジル代表の右サイドへ誘導。アタッカー陣のチェイシングに最終ラインの面々も呼応し、右サイドバックのエデル・ミリトンが相手DFリカルド・ロドリゲスのパスをカット。ここからカナリア軍団のショートカウンターが始まると、パケタのスルーパスに反応したリシャルリソンがスイス代表の最終ラインの背後を突いた。

ブラジル代表 MFルーカス・パケタ 写真:Getty Images

遅攻の要ネイマールを欠いたブラジル代表のチッチ監督がまず選手たちに徹底させたのは、ハイプレスでボールを奪い、相手の守備陣形が整わないうちに速く攻めること。先述の場面でも、スイス代表の2センターバックがビルドアップのために開いており、このスペースにパケタがスルーパスを通している。リシャルリソンからビニシウスへのラストパスは繋がらなかったが、スイス代表の守備組織は崩れていた。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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