ガレス・ベイルが繋ぐ揺るぎないウェールズ魂
2022年カタールW杯64年ぶり出場へ
初出場を果たした1958年以降、全15回に渡って開催されてきたW杯において、ウェールズ代表が参加のチャンスを得ることはできなかった。その間には、数多くの代表メンバーが入れ替わってきた。
そして2006年、現主将を務めるFWガレス・ベイル(2022年6月27日からロサンゼルスFC所属)が加入し、チームは一気に活気を取り戻す事になる。現在ベイルはウェールズ代表として、41得点、110出場の最多記録を叩き出しチームトップの位を保持している。
今カタールW杯欧州予選、ベイルを筆頭にウェールズは、ベルギー、チェコ、ベラルーシ、エストニアを含むグループEで2位につけてプレーオフに回ると、準決勝でオーストリアを2-1で破り見事勝利。決勝でウクライナ相手に1-0で勝利を収め、1958年から叶わなかった64年ぶりのW杯出場を果たしたのだ。
ベイルがウェールズ代表に加わったことには、チームメンバーだけならず、地域サポーターも非常に強い感謝の想いがあるという。
「たとえベイルがオウンゴールをしてしまい退場になったとしても、サポーターは決して悲観や批判をしないだろう」と、同代表GKウェイン・ヘネシー(ノッティンガム・フォレスト)は現地メディアに語っている。「それは地域の人々が、ウェールズにベイルというスーパースターの存在が居るということが幸せで、非常に高く評価しているからだ」とし、地域との信頼関係が築かれていることを明かした。
迎えたカタール大会、日本時間11月25日のグループリーグ第1戦イラン戦では、GKヘネシーが相手選手と激しく接触しレッドカード退場という厳しい処置を受け、10名体勢での闘いの末、0-2で敗北という受け止め難い結果となった。
最後のホイッスルが鳴った瞬間、ベイルは真っ直ぐにウェールズサポーターへと顔を向け俯いた。いつもの勇敢な表情が哀しみの色へと変わり、複雑な想いが見てとれた。チームの勝利はウェールズ皆のものという、地域サポーターとの信頼関係からなる、勝ち取れなかった責任と重圧で溢れていた。
その後の現地メディアインタビューで「立ち直らなくてはならない、ガッツポーツだ!」と、気持ちを切り替え、イングランドとの第2戦(11月30日)に挑む意向を示していたベイル。1958年のジミー・マーフィー監督が成し遂げた初出場から、ウェールズの伝説となるであろうガレス・ベイルが現代へと繋ぐW杯の記録は、これからが始まりだ。
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