“インザーギ・インテル”らしさが表れた決勝ゴール
自陣後方でのパスワークで相手選手を釣り出し、これにより生まれる中盤のスペースを使うことに長けているインテル。これはインザーギ監督のもとで同クラブが磨き上げてきたもので、今回のバルセロナ戦でも実を結んだ。
前述のチャルハノールのゴールは、インテルのビルドアップが起点となっている。前半アディショナルタイムにバストーニが自陣ペナルティエリア左角でボールを受けると、同選手にムヒタリアンがブスケッツを引き連れたうえで接近。ブスケッツはムヒタリアンからのボール奪取を目論み、猛然とアプローチしたものの、ここにバストーニからのパスは来なかった。
バストーニはムヒタリアンを囮にし、その奥にいたホアキン・コレアに浮き球を送る。その後左サイドでボールを受けたディマルコからダルミアンへのサイドチェンジのパスが繋がったことで、インテルの速攻が始まっている。バルセロナのハイプレスを逆手に取った良いビルドアップだった。
通常、カウンターの起点は相手からボールを奪った瞬間だが、自陣後方でパスを回しながら相手選手を誘い出し、この瞬間に前線へロングパスやスルーパスを送ることで速攻を成立させるチームが増えている。“擬似カウンター”と呼ばれるこの戦法は今やサッカー界のトレンドとなっており、インザーギ監督擁するインテルがまさに典型例だ。
今節の勝利により、インテルは同大会グループCの2位に浮上。決勝ラウンド進出に向け光明が差し込んでいる。バルセロナの猛攻を凌いだだけでなく、十八番の擬似カウンターで得点を奪えたことは、不振に喘いでいた同クラブの面々にとって自信に繋がるだろう。“インザーギ・インテル”の復調に期待したい。
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