FC東京下部組織出身のFW原大智(23)は今年6月、シント=トロイデンVV(STVV)をレンタル期間満了により退団。スペイン2部デポルティーボ・アラベスからSTVVへ再移籍の可能性が取りざたされていたが、アラベス残留に落ち着いている。その中、ベルギーメディア『VOETBAL』はSTVVが同選手再獲得に踏み切れなかった背景を解説している。
原大智は昨年8月にアラベスからSTVVへレンタル移籍。シーズン前半戦は日本代表FW林大地(25)とポジション争いを繰り広げていたが、今年1月にFW鈴木優磨(26)が鹿島アントラーズへ復帰したこともありレギュラーに定着。2021/22シーズンのジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)全34試合中20試合の先発出場で8ゴール3アシストをあげ、チーム内得点王に輝いていた。
STVV幹部は原大智のパフォーマンスを高く評価。昨季終了後に完全移籍での獲得に動く方針を打ち出していたが、6月7日にSTVV退団が正式決定。それでもベルギー国内の複数メディアは先月末にかけて、原大智のSTVV再加入の可能性について再三にわたり報じていた。
またデポルティーボ・アラベスの専門サイト『noticias de Alava』も先月、原大智がアラベスで構想外との見解を披露。ラ・リーガ(スペイン1部)やスペイン2部、それにスペイン国外クラブからのオファーもあわせて伝えていたが、ベルギー国内の移籍市場最終日である今月6日までにSTVV再加入が実現することはなかった。
『VOETBAL』は原大智がアラベスに残留した経緯について「今夏の移籍期間の終盤に、STVVは原大智を取り戻そうとした。しかし、デポルティーボ・アラベスはこの日本人がほとんどプレーしていないにもかかわらず、(STVVのオファーに)難色を示した」
「STVVはもっと高いオファーを出すこともできただろうし、他のアタッカーにすぐに資金を回すこともできただろう。しかし、彼らはそうしなかった」と説明。
「余剰戦力を売却すれば、何かが可能だった。中東のクラブは、ロベルト・バウアーとモリー・コナテの獲得で高額の移籍金を約束した。しかし、後になってその約束を守れないことが判明した」と他選手の売却に失敗したこともあわせて伝えている。
またSTVVの日本人幹部は『VOETBAL』のインタビューで「クラブとして、現在世界中で起こっている財政面での危機と無縁ではいられません。ジュピラー・プロ・リーグの財務規則では、すべてのクラブが毎年少なくとも20%ずつ負債を減らす必要があります。そうしないと、来シーズンに悪影響を与えます」とコメント。クラブの財政状況が原大智の獲得交渉に影響を与えた可能性を示唆している。
なお『VOETBAL』はベルギー国内クラブの財政状況について「過去2年間の決算で、黒字になったのはほんの一握りであり、多くのクラブが高額の負債を抱えている。リーグ側は、このアンバランスを是正したいと考えている」とリポート。STVVについては「大きな問題を抱えておらず、リーグ側のメッセージを理解している」と記している。
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