Jリーグ誕生以降の地域拡大の流れ
Jリーグができるまで、プロスポーツは大都市にしか存在しないことが当たり前だった。そうではない地域ではテレビを通して観たり、時折興行に来た際に観に行くことが楽しみ方となっていた。Jリーグも当初は10チームのみで、一部を除いてチームは大都市とその近郊に集中していた。
現在では3部リーグ制の58クラブまでに増加したJリーグ。40都道府県にJクラブが存在する。さらに事実上Jリーグの下に存在するJFLや地域リーグ、県リーグまでが1つのピラミッドに収まっており、昇格を繰り返せば県リーグのクラブがJリーグを目指すことも可能だ。
実際にJリーグが誕生した1993年、長野パルセイロは長野県リーグ所属、松本山雅は北信越リーグ所属だった。そこから1997年の北信越リーグでの初対戦を皮切りに、JFL、そしてJ3とカテゴリーを上げながら対戦を繰り返してきた。
現在も数多くのクラブがJリーグ参入を目指し、一方でJリーグは目指さずにJFLの門番といわれるクラブもあるなど、良い意味で幅が生まれている。非常に自由度の高いことがサッカーの魅力の1つであり、クラブのあり方も徐々に自由になってきたといえるだろう。
信州ダービーは地域創生への成果の1つ
Jリーグのクラブ名には企業名ではなく地域名が入っていることからもわかるように、地域に根付き、地域創生への貢献が目指すところだ。それを踏まえると、全国的な注目とは無縁だった信州ダービーに1万3000人以上が集まったことは、Jリーグの開幕戦にも劣らないほど大きな成果だといえる。
信州ダービーの盛り上がりは、地道な努力を繰り返した成果の1つだといえるのではないか。会場の長野Uスタジアムは15,491人収容と大きなものではないが、ピッチとスタンドが近く、かつJ1の試合開催も可能な専用スタジアムだ。
長野県全体の人口は約200万人と、東京都(約1400万人)の約7分の1、大阪府(約880万人)の4分の1以下。その県に2つのJクラブが存在し、スタジアムが超満員になったのである。
そして信州ダービーの決着は、10月30日に松本山雅のホーム「サンプロアルウィン」で行われる試合(J3第31節)に持ち越しとなった。サンプロアルウィンもまた、観客のことを考えた20,000人収容の専用スタジアムだ。この試合にも多くの観客が集うことは間違いない。
全国のダービーマッチに期待
ダービーマッチとは、街と街のプライドを懸けた戦いだ。
長野市と松本市は文化的にも行政的にも因縁があり、信州ダービーの熱さの一因となっている。お互いにJ3リーグで好調をキープしており、これからもJリーグを盛り上げてくれることだろう。
Jリーグにはこの他にも、ガンバ大阪とセレッソ大阪の「大阪ダービー」清水エスパルスとジュビロ磐田の「静岡ダービー」浦和レッズと大宮アルディージャの「さいたまダービー」アビスパ福岡とサガン鳥栖の「九州ダービー」など、歴史を積み上げてきた熱い戦いが数多く存在する。
今後各地域でダービーマッチが大きな盛り上がりをみせ、それだけでなく地域が盛り上がる熱戦がさらに増えていくことを期待したい。
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