クラブチーム化のメリットとデメリット
森保監督はできるだけメンバーを固定することで、代表チームとクラブチームのいいとこどりを目指しているのではないだろうか。現在の日本代表をクラブチームとして見ると、納得がいく点は多い。
監督によって大きく異なる部分ではあるが、選手には序列があり、簡単には入れ替わらないことは珍しくない。スタメンを固定化することで成熟度を上げようとし、極端な例であれば練習を分けることもある。森保監督はそこまではしていないが、スタメンや招集メンバーはある程度固定しており、はっきりと序列があるように見える。
これによるメリットは、合流からわずかな期間で試合に臨むことになっても連携面での不安が少なく、クラブチームのように安定した内容の試合を披露できることだ。
一方デメリットは、選手が目には見えない序列を感じることで競争が起きにくくなり、期待以上のパフォーマンスをという発揮することが難しいということが考えられる。最終予選の最初の数試合では、完全に後者が現れていた。
過去の日本代表と、森保ジャパンへの期待
過去の日本代表を振り返ると、クラブチーム化と対極にあったのはジーコ監督下のチーム(2002-2006)だろう。選手に自由を与え、インスピレーションを発揮させることを優先。実際にアジアの舞台で強さをみせ、2005年のコンフェデレーションズカップではブラジルと2-2で引き分けるなど強豪と渡り合う試合も少なくなかった。
ただ、集大成となるべき2006年のドイツW杯では1分2敗、グループFの最下位で大会を去ることに。同大会の前年頃から、采配や選手起用の自由さが減少するなどブレてしまったことも要因だが、日本代表は自由を与えるやり方が上手くいかなかった経験を持つ。
その点、森保監督は批判を浴びながらもブレることなく、現在までクラブチーム化に思える試みを続けている。オーストラリア戦の翌日、森保監督は「ワールドカップでベスト8以上の成績を収めたい」と目標を語っており、もし実際にW杯本大会でベスト8以上に進出できれば批判の全てはひっくり返る。圧倒的な称賛へと生まれ変わる。
日本代表は、W杯にてベスト16までは3度(2002、2010、2018)進出している。中でも前回ロシア大会は、強豪ベルギーを相手にあと一歩まで迫った(2-3で敗退)。予選で苦しんだ森保ジャパンが、4度目の正直なるか。クラブチーム化は結果に繋がるのか、注目したい。
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