日本代表・海外組 ワールドカップ

なぜ人には「競争」が必要なのか。W杯最終予選サウジ戦に思うこと

伊東純也 写真:Getty Images

2022FIFAワールドカップ・カタール、アジア最終予選。サッカー日本代表は2月1日、グループ(B)首位かつこの試合に勝つとワールドカップ出場が決まるサウジアラビアをホームに迎えた大一番で真価を発揮した。

最終予選3次ラウンドのアウェイ戦(2021年10月8日)で敗れている相手に対し、この度の日本は相手シュート2本に抑え、攻めては縦に速い攻撃で陣形が整う前にゴール前にボールを運ぶ。中でも右サイドの伊東純也は出色の出来。1点目はサイドを突破しクロスでアシスト、2点目は右足を振り抜いて自ら決めてみせた。結果は2-0。その他の選手も全員が対面の選手に負けまいとハードに戦い、久しぶりにスカッとするような勝利となった。

選手達は毎試合全力を尽くしているのだが、これまでの勝っても負けてもすっきりしなかった試合とはなにが違うのか。左サイドの連携面など戦術の微調整もみられたが、一番大きなポイントは「闘志を前面に出せているか否か」ではないだろうか。かつての中山雅史、川口能活、田中マルクス闘莉王、岡崎慎司。決してずば抜けた技術があったわけではない彼らが、サポーターの胸を熱くし愛された理由はそこにある。だが実は、人々を夢中にさせるこの要因を養う機会は、徐々に減りつつある。


気がかりな「競争」機会の減少

現在日本の教育現場には学校生活を中心に「競争は良くない」という考え方が存在する。運動会ではかけっこで順位付けをしなかったり、そもそも個人で行う競技を避けることもあるようだ。

筆者も、なんでも競争すればいいとは思わない。人それぞれ得意なことは異なるし、学業では積極的に競争させるのではなく、自分自身の得意なことややりたいことを見付けられる場になることが重要だと感じている。しかし一方で、全く競争しないことに対して危機感を抱いてもいる。

やりたいことが見つかったあと、それを手にするために競争は避けられない。子供の頃から競争を経験しておくことは、サッカーに限らず1つのモノを極めるために非常に重要なのだ。

例えば、将棋界に留まらず社会現象となっている史上最年少の五冠へあと1勝の藤井聡太竜王。穏やかな印象を受ける彼だが、内には強烈な負けず嫌いを秘めている。子供の頃は、負けると盤に突っ伏して泣くこともあったほどだ。その気持ちは変わらず、四冠となった現在でも驕りの気持ちは全く見られない。

バスケットボールの神様であるマイケル・ジョーダンに至っては、負けず嫌いの度を超えている。バスケはもちろん他の事柄でも負けることを徹底的に嫌い、日常生活における何気ない順番でさえ気にしていた。

一流になるためにはその競技への才能が必要不可欠。加えて、競争意識をここまで徹底できることができなければ超一流にはなれないのだろう。

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名前椎葉 洋平
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