
長谷部監督の人心掌握術
監督には様々なタイプが存在し正解というものはないが、長谷部監督のようなタイプはなかなかいない。
選手に対して敬語で話し、穏やかでネガティブなことを口にしない。選手からすると一方的な関係性でないことが感じられ、大きな不満になる前に相談することができる。かといって距離感が近すぎることもない。
またサッカーには「勝っている時は選手を変えない」というセオリーがあるが、長谷部監督は勝っていても負けていても、コンディションが良くその試合に最も適していると考えたメンバーを選ぶ。2021シーズン、同じ11人が2試合続けてスタメンに名を連ねたのはわずか2回だった。
30人の選手のうち、リーグ戦で出場機会がなかった選手はGK山ノ井拓己と永石拓海、それとルーキーの森山公弥の3人のみ。しかも、カップ戦を含めると3人ともがスタメン出場している。
つまり選手からすると、実力を付けコンディションを上げればリーグ戦でチャンスが与えられる可能性は十分。そうでなくても練習を積み重ねれば、何かしらの場面で出場機会をもらえる。それでも不満があれば、気軽に相談することができる。
監督と選手がお互いにリスペクトし、相互的な関係であること。これが長谷部茂利監督の人心掌握術なのである。
Jリーグは戦力差が小さいため、2022シーズンの順位を予想することは極めて難しい。それでも指揮官を含めJ1で8位となった昨シーズンの戦力を維持し、横浜FCから前嶋洋太、浦和レッズから田中達也、ジュビロ磐田からルキアンらをピンポイントで補強した長谷部監督率いるアビスパ福岡が、どの対戦相手にとっても難敵になることは間違いない。
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