神采配?戦術家?真の凄さは…
偶然では成しえない成績を残している長谷部監督は、アビスパ福岡のサポーターからの評価も非常に高い。SNS上では「10年契約を結ぶべき」との声もあるほどだ。
昨年の試合で、試合前半の平均得点が0.71、後半の平均得点が1.37と約2倍になっていることから分かるように、神采配と呼ばれる選手起用や選手交代が優れていることは間違いない。さらに2020、2021のどちらのシーズンも微調整を繰り返し、年間を通してチームの完成度を上げ続けられてきたように戦術家としての才も確かだ。
だが実は、最大の強みは選手起用でなければ戦術家としての姿でもない。「人心掌握術」これこそが、長谷部茂利監督の最大の強みなのだ。
選手から不満が漏れ聞こえてこない
通常、どのような起用をもってしても大なり小なり不満を抱えた選手というものは現れてしまう。当たり前だ。1試合には11人、交代枠をフルに使っても16人しか出場できない。にも関わらず、チームには30人前後の選手が所属しているのだから。
しかもプロの選手になることができているということは、それまでのサッカー人生でチームの中心としてプレーしてきた選手がほとんど。自分に自信を持つことはプロになるために必要不可欠で、試合に満足に出場できない状況に不満を抱かない選手など極々一部だ。
さらに試合に出場できていても不満を抱えることもある。起用法に対する不満や、待遇面に不満を持つ選手も珍しくないからだ。もちろんそれだけの理由ではないにせよ、移籍市場において非常に多くの移籍が発生している一因となっている。チームによっては、所属する選手の半数近くが一気に入れ替わることさえある。
その点、長谷部監督が率いてからのアビスパ福岡ではそういった不満が漏れ聞こえてこない。
そして実際に、主力選手の他クラブへの移籍が非常に少ない。2020シーズンは期限付き移籍で加入していた選手が多くシーズン終了後に彼らはチームを離れたが、完全移籍で加入していた選手では契約満了となったGKセランテスのみ。2021シーズン終了後にしても12月29日時点で、スウェーデン人のエミル・サロモンソンこそフィアンセの待つ母国のIFKヨーテボリへと移籍したが、それ以外の主力の流出はない。
では長谷部監督はどのように選手の心を掴んでいるのだろうか。
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