2022年11月21日に開幕するFIFAワールドカップ・カタール(カタールW杯)。そのアジア最終予選(グループB)を戦うサッカー日本代表は、日本時間10月7日の26時からアウェイの地でサウジアラビアと対戦。0-1で敗れた。
試合前半は一進一退の攻防が続いたが、後半に入り大観衆の声援を受けるサウジアラビアが攻勢を仕掛ける。そして71分に日本のミスから失点。そのまま敗れ、これで3戦を終えて1勝2敗とまさかの負け越しとなった。2022年カタールW杯の本戦出場に向け、早くも黄色信号が点っている(各グループ10試合を戦い1位と2位がW杯本戦出場権を獲得。3位はアジアプレーオフ、大陸間プレーオフを経由して出場を目指す)。
ここでは、日本代表を率いる森保一監督の、これまで支持されてきた理由と現在支持されない理由について述べたい。
これまで森保監督が支持されてきた理由
サッカーチームを応援するうえで、チームに求めているものは人それぞれだ。とにかく勝つこと。華麗なパスワークで相手を崩すこと。一閃のカウンターを見せること。色々な考え方がある中で、プロの選手達、それを応援するサポーターが最も大切にしているのは多くの場合、結果だろう。結果次第で先のキャリアが変わるのだからそれも自然なこと。代表ともなれば、その国のピラミッドの中で頂点にいる選手達が選ばれる。ということは、より結果が求められることとなる。
そういった意味で2018年7月、ロシアW杯を終えた日本代表の指揮官に、森保一監督が就任すると発表されたのは自然なことだった。選手として日本代表の経験が豊富だった森保監督は、引退後サンフレッチェ広島やアルビレックス新潟で指導者としての経験を積むと、2012シーズンにサンフレッチェ広島の監督に就任。就任1年目からJ1リーグ優勝に導くなど、2017シーズンの半ばまでの6シーズンで3度のリーグ優勝を果たした。1994シーズンに1stステージ優勝こそあったものの、年間王者の経験のなかったクラブに3度もの栄光をもたらした功績は本当に素晴らしい。
当時のJリーグで最も結果を出していた森保監督を日本代表の監督に据えるという人事は、自然かつ納得のいくものだった。ただし1992年のハンス・オフト監督の日本代表監督就任以降、W杯後の新たなチーム発足時に日本人監督が就任するのは初のこと。4年間に渡って日本人監督が率いた場合に上手くいくのかは未知数であった。
不安の声もあったなか、森保ジャパンは順調な滑り出しをみせる。初戦となったコスタリカ戦(2018年9月11日)で3-0の快勝。その後も南米の強豪ウルグアイに4-3で勝利(2018年10月16日)するなど、国際親善試合で結果を示すことに成功した。
サンフレッチェ広島の選手を常に招集することへの批判が一部で見受けられたが、これは2006年に日本代表監督に就任したイビチャ・オシム監督が、当初ジェフ千葉の選手を複数招集していたことと共通している。実力はもちろんのこと、監督の戦術をよく理解している選手をメンバーに入れることで、早期に戦術の浸透を図る狙いだったのだろう。また、3バックを試して上手くいかないこともあったが、戦術に幅を持たせようという試みは悪くなかった。
代表チームの1つの区切りとされるAFCアジアカップ。2019年大会で日本は決勝でカタールに1−3で敗れ、準優勝。準優勝という結果は悪くないが、イランを3-0で下した準決勝からは想定外の、決勝戦の完敗だった。この試合から、少しずつ雲行きが怪しくなり始める。この試合ではカタールとのシステム上のミスマッチに気付いていながら、前半のうちに解消できずその間に2失点。これが優勝を逃した大きな原因となった。
森保監督は選手に自主性を要求し、試合中の問題を選手達で解決することを求めている。そのために試合中の指示を最小限に抑えているように見える。だが、クラブチームほど時を共有していない代表チームにおいて、これを実行するのは容易いものではない。2006年のドイツW杯で、前評判に反しグループリーグ敗退となったジーコジャパンがそうであったように。
とはいえ、アジアカップ後、2019年6月に参加したコパ・アメリカでは若手中心のメンバーでまずまずの戦い(2分1敗でグループリーグ敗退も強豪ウルグアイに引き分けるなど善戦)を見せ、今回W杯のアジア2次予選で大勝(8試合全勝)を重ねた時期までは、結果を出していたが故に一定の支持を集めていた。
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