フットボールクラブが世界各国の実力者たちを束ねて死力を尽くして戦う姿も素晴らしいが、国の威信をかけて一枚岩で戦う姿もなお素晴らしい。
6月11日に開幕した今回のEURO2020(ユーロ2020、UEFA欧州選手権)は大会創設から60周年記念であることや、新型コロナウイルス感染拡大の影響により1年越しの開催が叶った背景も相まって、誰しもがこの大会にかける想いが強い。そんな欧州最強国を決める戦いは大激戦のグループステージが終了し後半戦へと突入。27日から決勝トーナメントがスタートする。ここではグループステージで特に活躍の目立った3選手をご紹介したい。
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ケビン・デ・ブライネ
ベルギー代表(マンチェスター・シティ所属)
グループステージ3連勝で難なく決勝トーナメント進出を確定させたベルギー。FWロメル・ルカク(インテル所属)を中心とした魅力的な攻撃陣に目が行くが、やはりMFケビン・デ・ブライネの貢献度が大きいと考える。グループステージ第2節のデンマーク戦はデ・ブライネの一人舞台と言える90分となったからだ。この試合はDFジェイソン・デナイヤー(オリンピック・リヨン所属)のミスによって開始早々からビハインドを負う展開だったが、後半に逆転をして勝利を収めた。
デ・ブライネはこの試合の46分から途中出場し、1ゴール1アシストとすべてのゴールに絡む活躍でチームに貢献した。前半のゴール期待値0.06と壊滅的だった状況から一転、デ・ブライネの手によって、ピッチ上で起こるすべてが整理されベルギーは正しい方向へ導かれた。
マヌエル・ロカテッリ
イタリア代表(サッスオーロ所属)
ベルギーと同じくグループステージ3戦3勝、また歴代最多タイとなる30試合無敗という驚異的な記録に並んだイタリア。また強いアッズーリ(イタリア代表の愛称)を見ることができて嬉しいと思うファンも多いことだが、今回のイタリア絶好調の要因は中盤にあると考える。ジョルジーニョ(チェルシー所属)をアンカーに配置し、彼を中心にチームが動かされるイタリアだが、アンカーの脇に位置するマヌエル・ロカテッリ(サッスオーロ所属)の攻守における働き方はジョルジーニョと同等に重要な存在であると考える。
ロカテッリは絶妙なポジショニングと対人能力で試合の主導権を握る大きな役割を果たしている。また積極的な攻撃参加でも輝きを放ち、グループステージ第2節のスイス戦では2ゴールをマークして勝利に貢献した。
ジョルジニオ・ワイナルドゥム
オランダ代表(パリ・サンジェルマン所属)
グループステージでは最多得点となる「8ゴール」を記録し、危なげなく決勝トーナメント進出を決めたオランダ。相対的に攻撃面での仕上がりができており、FWメンフィス・デパイ(バルセロナ所属)を中心に機能する攻撃は守備陣を大いに困らせている。しかしさらに厄介なのは、トップ下にMFジョルジニオ・ワイナルドゥムが位置していることである。
昨シーズン所属したリバプールでワイナルドゥムが求められていたミッションは、比較的全体のバランスを保つことだったが、今大会でのワイナルドゥムはリバプールでのプレースタイルとは異なり、よりFWと近い位置でプレーすることに重きを置いている。デパイとの相乗効果もあり、3戦3発という大車輪の活躍を果たすことになった。また大会期間中にパリ・サンジェルマンへの移籍を決めたワイナルドゥム。こうした自らの去就に関するメディアからの外圧によってパフォーマンスを落とすケースも少なくないが、むしろパフォーマンスを上げたようにも伺える。
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