明治安田生命J1リーグ第6節。北海道コンサドーレ札幌は3月20日にホームでヴィッセル神戸と対戦した。アンデルソン・ロペスのハットトリック(3得点)で3-0と大幅にリードしていた札幌だったが、後半神戸に4ゴールを許し、結果は3-4の信じがたい敗北となった。
同試合における得点者は以下の通りである。
- 45分 1-0 PK アンデルソン・ロペス(札幌)
- 45+8分 2-0 PK アンデルソン・ロペス(札幌)
- 46分 3-0 アンデルソン・ロペス(札幌)
- 53分 3-1 山口蛍(神戸)
- 57分 3-2 古橋亨梧(神戸)
- 67分 3-3 PK 古橋亨梧(神戸)
- 86分 3-4 山口蛍(神戸)
特に神戸の古橋が挙げた2ゴールは、札幌のプロ経験が浅い若手選手の守備対応ミスによる失点となった。1つは57分、田中駿汰(23歳)の不用意なバックパスから生まれた失点。もう1つはその10分後、GK中野小次郎(22歳)がファールをしてPKゴールを許したものである。
しかし、この札幌の大逆転負けをは、若手選手のせいにするべきではない。裏にはもっと深い理由が隠されている。
ペトロビッチ式サッカーには厳しい日程と交代のタイミング
J1リーグ参加クラブは今年、18クラブから20クラブに増えた。開幕戦から現時点までには、週末だけではなく平日にもリーグ戦が行われ、さらにJリーグYBCルヴァンカップの試合も行われている。
札幌のミハイロ・ペトロビッチ監督が目指すハイプレスを含めた攻撃的なサッカースタイルを実現するには体力が最も重要となり、今季の厳しい日程は最大の敵であろう。
J1リーグ第1節の横浜FC戦、第2節の名古屋グランパス戦では、選手たちはハイプレスするべき時間帯と我慢すべき時間帯、試合の流れをしっかりと理解し、90分間体力が持つ戦いをしていたように見えた。
一方、プレー内容の良さにして結果がついてこない焦りか、最近の試合では戦い方のバランスが失われてきている。神戸戦では後半3-2に詰められた後、札幌のペースが急激に落ち、神戸がボールを持って攻める時間帯が増え、さらなる失点が生まれた。
ペトロビッチ監督の交代カードに対する考えも気になるところだ。左腓骨骨折及び左足首靱帯損傷の大怪我で離脱中の荒野拓馬や、シーズンオフに新型コロナウイルスに感染しコンディションが整っていないジェイ・ボスロイドなど重要な選手の不在もあり、同監督が交代に悩むのは理解できる。しかし、昨今の試合では交代に踏み切るタイミングにそれ以上の迷いが見受けられる。交代カードはもう少し早めに使うべきではないだろうか?
宮澤の過大負担、荒野とジェイの不在
現在、若手選手をリードし札幌にバランスを取り戻そうとしているのは、キャプテンの宮澤裕樹たった1人である。神戸戦でも、多くの危険な場面での同選手の適切な判断によって、前半は無失点で終了した。
一方、3月3日のアビスパ福岡戦(ルヴァンカップ)を除く全ての試合でスタメン出場してきた宮澤は、神戸戦後半に溜まった疲労が一気に出たようで、それもあって札幌の守備が崩れ始めた。
これからの戦いは宮澤の負担を減らす選手がいなければ辛いものとなるだろう。そう考えると、荒野とジェイの不在はやはり大きいものである。
荒野は、相手陣地にてファールでライバルを止めチームメートに守備を整えるための時間を与えたりと、強いメンタルで厳しい場面にもしっかり対応する選手だ。ジェイは、得点力の面でももちろん重要ながら、今の札幌に必要なボールキープ力、ポストプレーの技術、強いフィジカルを持つ。チームが疲れている時、同選手に高いボールを出し少しペースを落とすことができれば、選手全員に若干の余裕が生まれるだろう。
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