いよいよ私たちの日常にJリーグが帰ってきた。2021シーズンのJ1リーグは史上初となる全20チームの参加となり、過密スケジュールは避けられず選手のコンディション調整には一層神経を研ぎ澄まさなければならない。
そんな中で開幕したJリーグの中から、関西の4クラブの第3節終了時点までの立ち上がりについて論じていきたい。
ヴィッセル神戸
昨シーズンAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では準決勝まで駒を進め、アジアでの存在感を見せることが出来たが、国内に目を向けると散々たる結果に終わったヴィッセル神戸。リーグ戦最後の6連敗は、2020年コロナ禍の中戦うことの難しさを暗示しているかのように思えた。
しかし今シーズンは開幕節でガンバ大阪相手に1-0で勝利し、昨シーズンの嫌なムードを打ち消すことに成功。その流れを継続させ、次節の徳島ヴォルティス戦では引き分け、FC東京戦では2-3で競り勝つなど好調をキープしている。
特に今シーズンからヴィッセル神戸に加入した井上潮音が存在感を示しており、彼の左サイドでの躍動には目が離せない。ここまで3試合すべてスターティングメンバーに名を連ね、第3節のFC東京戦では先制点を決めたドウグラスへのアシストをお膳立て。早速J1の舞台が板につき始めた印象だ。
今のところ好材料が多いことは確かだが、心配な箇所もある。それはビルドアップのクオリティだ。ヴィッセル神戸はディフェンスラインでボールを保持しながら攻撃の機会を伺うが、そこで相手に奪われてピンチを迎えるシーンが見られるのは非常にもったいない。シーズンの序盤でこの課題は払拭しておきたいところだ。
セレッソ大阪
昨シーズンのミゲル・アンヘル・ロティーナ体制から大きく変革を遂げ、2013年以来の復帰となるレヴィー・クルピ監督とまた歩む覚悟を決めたセレッソ大阪。今シーズンは2年ぶりとなるACL出場も決まっており総力戦が求められることとなりそうだ。
今シーズン早速クルピらしさが出たのは、センターバックに若手ディフェンダーを起用したこと。昨シーズンベストヤングプレーヤー賞を受賞した瀬古歩夢とプロ2年目となる西尾隆矢からなるディフェンスラインには今後も大きな期待が寄せられる。昨シーズンと比較して失点は増加傾向だが、今後チームに合流してくる新戦力のダンクレーや進藤亮佑が加わればより守備面では安定が図れることだろう。
そんなセレッソ大阪の立ち上がりは、開幕節では柏レイソル相手に2-0で危なげなく勝利を収め、次節の川崎フロンターレ戦では昨年王者相手に敗戦を喫したものの2度リードするなど善戦した。ここまで3勝2敗ではあるが、いずれの試合も複数得点しており非常にいいスタートを切れたと言っていいだろう。
その原動力は間違いなく大久保嘉人だ。15年ぶりにセレッソ大阪へ帰還し、開幕からすぐに躍動している。開幕から5戦で5ゴール1アシストはあまりにも出来すぎている実績だ。決して偶発的なものではなく、ペナルティエリア内での動き出しはやはり絶妙で、大久保嘉人自身のプレー経験値そのものが当然の結果を導いているように考える。
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