12月8日に行われたチャンピオンズリーグ(CL)第6節、バルセロナ対ユベントス。リオネル・メッシ(バルセロナ)とクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)が2年半ぶりにピッチで対面した。
結果スコアは0-3となり、アンドレア・ピルロ監督率いるビアンコネーリ(ユベントス)が圧勝する形でグループステージ首位突破を決めた。
ここでは圧勝したユベントスがどのようなサッカーを展開したのかを中心に振り返っていきたい。
スターティングメンバー
大会:CL第6節(2020年12月8日)
開催地:カンプノウ
カード:バルセロナ(青)vsユベントス(白)
スコア:0-3
攻守と状況に応じた可変システム
現代サッカーでは、攻撃時と守備時でシステムが変わることが珍しくなく、ユベントスも例外ではない。
スターティングメンバーの配置を見ると3-5-2だが、攻撃時には4-3-3気味になり、守備時には4-4-2となる。
攻撃時
これはあくまでも個人的な憶測に過ぎないが、攻撃時に4-3-3の配置にしている理由は、5レーンの棲み分けによってピッチ上に多くの三角形を作れるという点がポゼッション志向の強いピルロの哲学にマッチしているからかもしれない。もちろん、選手の特性も考慮しているはずだ。
ただ、攻撃時は毎回4-3-3でプレーするわけではなく、基本フォーメーションの3-5-2も状況に応じて使い分けている。どちらにせよ、右サイドではダニーロ(またはクアドラード)が、左サイドではサンドロが横幅を確保しておりピッチを広く使おうとする意図が垣間見えた。また、CBのサポートの位置が秀逸でいつでもビルドアップをやり直せるような仕組みになっており、バルセロナとしてはやりにくかったかもしれない。ビルドアップのやり直しを狙ったサイドチェンジのパスの精度が高くないことが少し気になったが。
また戦術だけではなく、各個人の止めて蹴るという技術も極めて高い。バルセロナはボールを持たない局面にそこまで慣れていないにせよ、そのプレスもなんなくかわすことができていた。
そして興味深かったのが、相手のブロック内(CB、SB、SH、CHが形成する四角形)に1人入っているということだ。
これによって、一気に4人の注意を引き付けることができ、サイドに張っている選手に時間とスペースをプレゼントすることができる。この四角形内に入る選手は決まっておらず、ランダムで侵入してくるのが厄介だ。
守備時
守備時には、サッカー選手ならほとんど全員が慣れているであろうシンプルな4-4-2というシステムを採用し、相手がどんなチームであろうと対応できるようになっている。押し込まれた時にはクアドラードやラムジーがもう1列下がって5-3-2で守れるようにもなっている。
ゾーンディフェンスをベースにしつつ人に強くアタックする守備をするのだが、特に対人守備が強い最終ラインにはぴったりの守り方である。
ボールを奪うと、高い位置を取ったバルセロナのSBの後ろのスペースにCFやWBが入って受けて一気にカウンターを食らわせていた。この流れが非常にスムーズで、誰がどこにどのタイミングで走るかが共有されており、スピードに優れたロナウド、モラタ、クアドラード、サンドロらによる速攻はかなり強力だ。
おわりに
この試合に限って言うと隙らしい隙は見せていなかったユベントス。だが、今回は完成度が高いとは言えないバルセロナが相手だったこともあり、他の試合も深堀する必要がありそうだ。
とは言え、組織と個のバランスのとれたピルロ流のサッカーはとても興味深い。今シーズンのCLでどこまで勝ち進めるのだろうか。また、10連覇のかかったリーグ戦でスクデット(セリエAリーグ優勝)を勝ち取ることができるのだろうか。今後もユベントスに注目したい。
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