リバプールのような外切りプレス
トッテナムはピッチの中央あたりに守備を構えるミドルプレスであったが、対するチェルシーは高い位置からのハイプレスを選択。
その際のプレッシングの方法は、リバプールが採用している「WGによる外切りプレス」であった。相手CBがボールを持つとWGが相手SBへのパスコースを遮断しながら寄せていき、中央エリアにパスを誘導してそこで奪うことを目指すやり方なのだが、チェルシーのプレッシングには少し問題があった。
右WGのツィエクがトッテナムの左SBレギロンへのパスコースを切れておらず、何本かそこへパスを通される場面や、3人のMFの間や脇に縦パスを通される場面が見られた。
前者の問題に関しては、ツィエクのポジショニングや相手SBへの寄せ方などを改善すれば解消されるかもしれないが、後者はそれだけでは解消されない。
そもそも中央に誘導して3MFのところで奪おうとしているのだから、対人守備に強いメンバーを選ぶことが望ましい。また、ピッチの横幅はおよそ68mもあり、3人でスライドしながら守るのはかなり体力的に難しい。リバプールのMFのように、走力と対人守備を高次元で兼ね備えた選手がいれば別だが、少なくともマウントやコヴァチッチはそのようなタイプではない。
よって、上記のような守り方はこのメンバーには向いていないかと思われる。
選手と戦術について
戦術は重要な要素であるが、選手の方がもっと大事だ。戦術に選手を当てはめるのではなく、選手の特性に合わせて戦術を練るべきであると筆者は考えている。
しかし、チェルシーのように大物選手を多く揃えたチームでは、どの選手を起用してどのような戦術を設計するかが難しいはずだ。贅沢な悩みではあるが、今シーズン移籍市場で大枚をはたいたブルーズはランパード監督に難題を与える形になっているのかもしれない。
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