今シーズンからプレミアリーグでも正式に採用されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)。VARが試合をリアルタイムでモニターから監視しながら、主審のレフェリングをサポートするシステムだ。
判定の精度が向上し、より試合の公平性が増すと期待されたVAR。しかし、プレミアリーグではVARによる判定にミスが相次ぎ、物議を醸している。
プレミアリーグには必要ないという声も大きいVAR。しかしながら、正しく扱えば選手や審判、観戦者に大きなメリットをもたらすシステムだ。今回は『sportskeeda』が特集した、プレミアリーグがVARを採用し続けるべき3つの理由をご紹介する。
問題はシステムではなく運用方法
サッカー界では、試合の中でテクノロジーをもっと駆使すべきだという声が多く挙がっていた。その答えの1つがVARだろう。ロシアワールドカップでも誤った判定が覆され、試合の公平性が上昇した。
プレミアにおけるVARの問題点は、その運用方法だ。VARを採用している多くのリーグでは、主審がVARから助言を受けた際に、ピッチサイドにあるモニターでプレーを見返すことができる。これがOFR(オン・フィールド・レビュー)だ。しかし、プレミアではモニターがなく、VARに確認を取るだけとなっている。
もちろんOFRはVARとの交信だけで判定を下すよりも時間を要する。しかしながら、判定の精度は大幅に向上するだろう。とにかく、プレミアはVARの運用方法を間違えている。
国際大会への対策
VARはチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)といったクラブの国際大会で使用されているだけでなく、ワールドカップといった代表の国際大会でも使用されている。
VARがプレミアだけで採用されているシステムなら問題はないだろう。しかしながら、そうではないのが現状だ。VARを採用していないリーグのチームが、CLに出場した時のことを考えてほしい。レッドカードのレビューシステムや疑わしいハンドのレビューシステムなど、慣れていない選手たちに悪影響を及ぼす可能性がある。
これまでにも、ルールの変更によって苦しんだチームは少なくない。バックパスのルールが適応された初年度のプレミアリーグでは、リーズ・ユナイテッドがそのルールに対応しきれなかった。ガラパゴス化を進めるのは危険な選択だ。
VARが実装される前は…
VARが実装されたことにより、選手やサポーターの中に「これで誤審がなくなるんだ」という気持ちが芽生えるのは当然だろう。誤審が生まれた際にも、非難すべき対象が明確になったためVARや主審にヘイトが集まりやすい。
しかし、VARが実装される前のプレミアのことを思い返してほしい。今以上に物議を醸す判定が下されてはいなかっただろうか?VARが現在のプレミアにとって、最大限効果的に働いているとは言い切れない。ただ、採用する前よりも自体が悪化したと主張するのは難しいことだ。VARを廃止するという議論の前に、どのように改善していくかを話し合うべきだ。
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