セリエA ナポリ

ナポリVSユーベがまもなく。サッリ監督とナポリサポーターの複雑な気持ち

マウリツィオ・サッリ 写真提供: Gettyimages

故郷を離れて日本に住む私がイタリアの実家に戻ることには、とても深い意味があります。実家に戻れば若い頃の思いが一気に湧いてくるし、両親や親戚と再会することは嬉しい。しかしそれが一瞬だけのことと考えると、寂しさを強く感じることになる。

ユベントスの監督マウリツィオ・サッリにとって、ナポリは実家に帰るのと似たようなものでしょう。ナポリはサッリの生まれた街であるだけではない。両親が愛して長く働いていた街でもあり、自身をヨーロッパの一流監督の一人にした発射台の街でもあった(2015-2018年ナポリの監督を務め、その後チェルシーを経て2019年ユーベに就任したサッリ。彼の母はユーベの監督になることには反対したという)。

現在は敵チームとなったものの、サッリはいつもインタビューの時にナポリのことを懐かしそうに語る。そして、イタリアのナポリサポーターは表では認めていなくても、現在の辛い状況(参照:ナポリがガットゥーゾの元でも結果を出せない理由と、革命の兆し)の中、サッリのことを懐かしく思っているだろう…。

ドリース・メルテンス 写真提供:Gettyimages

ナポリというチームは未だにサッリの遺伝子を持っている

2018年5月、ナポリがユーベとセリエA優勝をかけたギリギリの勝負(ユーベ勝点95、ナポリ勝点91でシーズン終了)をした後に、サッリはナポリを解任となった。その後から南イタリアのチームは混乱に包まれている。たくさんの優勝経験があるカルロ・アンチェロッティ(2018-2019)でさえ、このチームを進化させることに苦しんだ。

サッリのシステムやスタイルは、当時からナポリに残っている選手の頭の中に消えないタトゥーのように未だにある。入れてしまったタトゥーを消すのはとても難しいことです。特にロレンツォ・インシーニェとドリース・メルテンスは彼の元では100%以上の実力を出すことができていたが、サッリの解任後はあの頃と同じようなプレーのキレを見せられていない。

現ユーベの監督サッリの元で、ナポリは完璧な得点取りマシーンだった。今は得点にも苦しんでいる上、ランキングではすでにユーベから勝ち点27も離されている(2020年1月25日現在ユーベは勝点51、ナポリは勝点24)。

ナポリにとって次のステップに進むためであったサッリの解任は、今となっては誤った選択だった。それをよく理解しているアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は、サッリと似たようなシステムを使うジェンナーロ・ガットゥーゾを新監督に選んだ。そして、デ・ラウレンティス会長はガットゥーゾの初めての記者会見で「ガットゥーゾはナポリに美しいサッカーを再びもたらしてくれる男」と、かつてに戻りたいことを感じさせるニュアンスの発言をしている。実際にそうなるかどうかはわからないが…。

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名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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