ラ・リーガ レアル・ベティス

Dr.TRIBE【試合診断書】 ラ・リーガ第5節 レアル・ベティス対アスレティック・ビルバオ

大会:ラ・リーガ
カード:レアル・ベティスvsアスレティック・ビルバオ
スコア:2-2
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)ホアキン・サンチェス

得点は決めなかったが、複数のポジションをこなし、ボールを受けては相手をはがし、攻撃にテンポをもたらした。試合終盤には逆転弾につながってもおかしくないクロスボールを供給。衰えを知らないレジェンドは、この試合でも輝きを放った。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ダニ・ガルシア

ビルドアップから前線へのプレスまでこなし、前半は効果的なプレッシングで得点機会を創造。ひとり少なくなってからは、体力的に厳しくなりながらも中央を割られることはなかった。バルトラの得点は彼をほめるべきだろう。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):フランシス・ゲレーロ

ホアキンが右WBにポジションを移してからチャンスが多く作れたことから分かるように、彼の攻撃性能はまだまだ低い。ラストパスの精度も安定しておらず、それゆえにチャンスを無駄にすることは多かった。


ベティスの攻撃vsアトレティックの守備

ベティス:前から人を埋めてくるアトレティックの守備に対して、ビルドアップでは5番のバルトラが相手の2トップの後ろまで上がってプレスをけん制しつつ、ボールを受ければ縦パスの供給元に。

攻撃の重要なポイントであるシャドーの2枚に、相手のSBがマンツーマンでついてきたことで、前半は縦パスをカットされるシーンが目立った。2失点したとは、18番のグアルダードがあえて高めの位置をとり、21番のロ・チェルソと16番のダニ・ガルシアの1対1を中央に作って、個人技ではがしてボールを前に進めた。

アトレティック:基本的には前から人を埋めていく守備の仕方。2CB以外は自分の担当するマーカーがおり、そこへのパスに対して厳しくアプローチしてボールを獲る。特に両SBはそれぞれ対峙する相手シャドーの選手に、マンツーマンで守備をする。

2トップのプレッシングのやり方から考えるに、自軍左サイドに誘導しようとしていたのだろう。その理由は、組み立てが得意ではない2番のフランシスと、フィジカル的に強くない6番のカナレスのところでボールを奪う設計だったからだと推測できる。左SMFにSBもできる12番のユーリを先発させた理由はここにあるはずだ。


アトレティックの攻撃vsベティスの守備

アトレティック:ボールを奪ってからは、まずは前線の誰かひとりが裏を狙って相手DFラインを押し下げ、深さを作る。主にその役割を担ったのは14番のスサエタと9番のイニャキ。

遅攻の場合は、ダニ・ガルシアがCB間に落ちて3バックでボールを運ぶ。守備時はイニャキと2トップを組む22番のルイス・ガルシアは、少し低めの位置でボールを引き出す。

ベティス:相手の4番イニゴの精確なキックを警戒してか、守備時はカナレスが17番のホアキンよりも少し高い位置をとって、イニゴに対してアプローチをかける。相手SBに対してはWBが対応し、前半は図のように崩れた4-4-2のような形になること多かった。

フィジカルで劣るDFラインは、1失点目ではクロスボールに対してルイス・ガルシアとフィルポのミスマッチを作られた。イニャキに対しても1対1になる場面が散見され、組織としての未熟さを露呈した。


ベティス監督:キケ・セティエン

相手の退場もあり、どうにか引き分けに持ち込んだこの試合は、セティエン監督だけでなく、ベティス全体にとって非常にいいレッスンになっただろう。フィジカルを前面に押し出してマンツーマンでプレッシングをかけてくる相手に対して、試合開始から浮足立って、早々と2失点してしまった。

FWが相変わらず得点を決めることができていないのも悩みの種だろう。先発したサナブリアは、決勝点になるべきだったシュートを外している。テージョの起用とホアキンをWBにポジション変更した采配は見事だった。


アトレティック監督:エドゥアルド・ベリッソ

ユーリを左SMFで先発させて、計画的にベティスのビルドアップを左に誘い、序盤から試合の主導権を握って、20分以内に2得点をあげる完璧な立ち上がり。しかし、そのスタイル上ある程度は仕方がない退場によって後半を10人で戦わなければいけなくなった。

カパ、サン・ホセ、ムニアインを、それぞれ疲れが見える選手と交代させてどうにか守り切った試合だったが、2失点した後に、守備のオーガナイズを、それまでの4-4-1から、5-4に変更して相手のサイドチェンジに対策を立てたところはさすがだった。


主審:エストラーダ・フェルナンデス

判定の基準があいまいだったところは否めない。アトレティックのスタイル上イエローカードが多く出ることは避けられないものの、もう少し選手とコミュニケーションをとって、明確にファウルの基準を示すべきだった。