著者:津田翔汰
時計の針を3カ月前に戻す。
出口の見えない“トンネル”を駆け巡る中、急遽開催された「サガン鳥栖への質問コーナー」。
株式会社サガン・ドリームスの竹原稔代表取締役社長がサポーターの声に直接向き合い、苦境に立たされているチームの現状を踏まえた上で描くビジョンを説明するということを趣旨として行われたこのイベントで、マッシモ・フィッカデンティ監督の起用法に対する手厳しい意見、そして経営陣に対して覚悟を求める声が出たことは想像に難くない。
「降格した場合の責任は誰がどのような形でとるのか」
「監督交代は考慮に入れているのか」
「今夏の補強のプランは」
竹原社長はサポーターの切実な声を心に刻んだ上で「フィッカデンティ監督の続投」と「今夏の大型補強敢行」を明言している。
4月以降の公式戦9戦未勝利を振り返ると、ピッチ上でのパフォーマンスはチーム全体がハードワークを厭わず我慢強く戦う姿勢を見せており、決して低調なものではなかった。しかし1つのミスが結果論として勝敗を分けるポイントに直結したり、審判の判定に泣かされる“不運”に見舞われることが多かった印象だ。
ただこの“トンネル”をさまよう中、決定力の向上が今夏の最優先課題となっていたことは自明の理である。現にリーグ戦での連敗記録を止めたJ1リーグ第13節・清水エスパルス戦では3ゴールを叩き出していたものの、複数得点をあげたリーグ戦での試合は実に3月末の第5節・名古屋グランパス戦までさかのぼる。さらに補足すると、連敗脱出後はリーグ戦2試合をともにスコアレスドローで終え中断期間に突入。
もはや「期待を裏切らない」ストライカー獲得はサポーターやクラブ関係者を含め、サガン鳥栖に関わる全ての人々にとっての“待望論”となっていた。
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